今日は鈴木真砂女の忌
たべものの句を集めてみました。
軒低く干す小鰈や斑雪 鈴木真砂女(以下同)
ふるさとや東風寒き日の鰯売り
籠いつぱい野蒜を摘みて才女ならず
生栄螺しこしこ噛んで夜の怒濤
白魚のみごもりゐるがあはれかな
蛤を沈めて桶のおぼろかな
恋したや苺一粒口に入れ
金目鯛の赤うとましや春の雨
血抜きして鱸の肌の透きとほり
傘雨忌やおろしたつぷり玉子焼
女将ある日やりきれなさの瓜揉んで
旅一つのがせし鰺を叩きけり
三伏や提げて重たき油鍋
ふるづけに刻む生姜や朝ぐもり
糠みそへ素手ふかぶかと入れて夏
揚物をからりと揚げて大暑なり
真中に鮑が坐る夏料理
白桃に人刺すごとく刃を入れて
美食して戻る台風の目は遥か
東京をふるさととして菊膾
秋刀魚焼いて泣きごとなどは吐くまじよ
支那菓子のくづれやすさよ秋暑く
今生のいまが倖せ衣被
秋鯖の仕入ごころをそそのかす
笑ひ茸食べて笑つてみたきかな
大鍋に蟹ゆで上る時雨かな
牡蠣割つて脛に傷もつ女かな
下仁田の土をこぼして葱届く
熱燗や食ひちぎりたる章魚の足
鍋物に火のまはり来し時雨かな
寒波来る虎河豚は斑を誇りとし
女体冷ゆ仕入れし魚のそれよりも
鯛は美のおこぜは醜の寒さかな
海鼠買ふ人差指で押してみて
このわたは小樽海鼠は中樽に
冬蜆砂吐いて身を軽ろくせり
鮟鱇鍋はらからといふよき言葉
悪名もいまはむかしの鮟鱇鍋
鮟鱇鍋路地に年月重ねたり
湯豆腐や男の嘆ききくことも
悪相の魚は美味し雪催
金柑の甘さとろりと年迎ふ
村百戸海老を栄螺を初荷とす
俎始ひと杓の水走らせて
割烹着ぬぐとき時雨ききにけり
2010年3月14日日曜日
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