中嶋憲武
地下街はひかりに満ちて水中花 さいばら天気
ユウジはいつもわたしを待たせる。今日も携帯に15分遅れるって、メールが入った。15分!このうら若き乙女の人生の貴重な時間を、一体全体なんだと思っているのだろう。傲慢無礼とは彼のことだ。
直射日光にこのまま晒されていると、光になって消えてしまうと思われたので地下街に入ることに決めた。本日の最高気温は34度だと予報士の渕岡さんが言ってた通り、猛暑だ。地下街は灼熱の地上よりも、ひんやりとしていい気持ち。予報士の渕岡さんは、毎日センスのいいものをお召しになっている。どこで買っているのだろう。かわいいショップを覗きながら、あれこれと洋服をみた。
喉が乾いたので、ジュース・バーでキウイジュースを飲んだ。よく冷えていて、天国な気分なり。着信。ユウジからだ。ユリ、ごめんな。いま着いた。せっかく天国気分なのに。もうちょっと待たせてやろう。頬をへこませて、キウイジュース飲みながら、そう思った。
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