【裏・真説温泉あんま芸者】
音と意味
さいばら天気
この美しい句、
物干しに美しき知事垂れてをり 摂津幸彦
すでにみな了解済みの話なのか、私が言っているだけなのか、わからないが、また、前にもどこかで書いたと思うが、
物干しに美しき生地垂れてをり
という元も子もない「見たまんま」から、音の類似を経て、意味が飛躍したパターンだと信じている。
この手法、使えそうだと安易に考え、ちょっと試してみたが、なかなか難しい。まずもって、「物干しに美しき生地垂れてをり」などといった、例えば山口東人さんばりの、すっとそのままのフレーズがなかなか出てこない(これには吟行がよさそう)。さらには、何に置き換えればサマになるかもむずかしい。生地→知事は、つくづく素晴らしい転換だと思う。攝津幸彦はやっぱりエクセレント。
それでも、あれこれ物色していると、
卵抱く渚、兄に職なし兄走る 坪内稔典
これも、もとは
卵抱く渚、蟹に職なし蟹走る
だったにちがいないと確信している次第。
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2010年8月14日土曜日
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