樋口由紀子
しっかりと長さを見せて蛇通る
峯裕見子 (みね・ゆみこ) 1951~
道端などで蛇に出くわすとびっくりする。さも運が悪かったかのように、「きゃー」と言って、逃げてしまう。ぬるっとしていて、異様な動きのする蛇は嫌われものである。しかし、蛇はそんな対応にもメゲることもなく、自分の姿をしっかりと見せて、ゆっくりと進んでいく。作者もあまり堂々さぶりに感心して、頼もしくなって、怖いのも忘れて見入ってしまったのだろう。
今年は蛇年であった。私の干支も蛇。さて、この一年はどんな年であっただろうか。蛇のようにしっかりと長さを見せただろうか。自分の姿できちんと過ごせただろうか。そう思うとはなはだ心もとない。『川柳の森』(大巧社刊 2000年)所収。
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