西原天気
※相子智恵さんオヤスミにつき代打。
※相子智恵さんオヤスミにつき代打。
地芝居の月みしみしと上るなり 岡田一夫
ローカルな素人歌舞伎だろうか。例えば大見得を切る、その背後の書割の稜線から、紙かベニヤ板の月が上る。「みしみし」というのだから、きっと公民館かなにかの仮組の舞台。月を操作する人の足元が、木を鳴らす。あるいは、月にまつわるの普請のせいか。
こういうときの月って、きまって満月なんだよなあ、と思いを巡らしつつ、それはあたりまえだと気づいた。特別の日、特別の時間、特別の場所に上る月は、めでたく望の月。でないといけないのだ。
なお、掲句を引いた句集『こほろぎ』(2023年9月26日/現代俳句協会)は岡田一夫(1947-2021)の第3句集かつ遺句集。
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