樋口由紀子
雨なので気をつけをして酔ってます
西沢葉火
酔っているのは、雨を見ながらなのか、雨に打たれながらなのか、どちらにせよその情けない、かっこよくない姿を想像して、鼻につんときた。何かあったのだろう。たぶん雨と涙の境目もわからない。作者の心情が伝わってくる。
「気をつけ」の姿勢は学校で先生に言われてしかたなくするのと、自ら勝手にするのとはおおきな違いがある。「雨なので」と雨を言い訳にしているところもぐっとくる。人は哀しい。雨に酔いながら、雨が止んでも、その姿勢を続けるだろう。なんともいえぬ寂寥感を醸し出している。「おかじょうき」(2024年刊)収録。
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