鰤には羽子がはえて飛ぶ年 打越
魔法にもせよ不思議成る隠れ蓑 前句
眠る人なき十七夜待 付句(通算54句目)
眠る人なき十七夜待 付句(通算54句目)
『西鶴独吟百韻自註絵巻』(1692年頃)
【付句】三ノ折・裏4句目。 雑。 十七夜待(まち)=1・5・9・11月の十七夜に月の出を待って祈願する行事。夜を徹し、講仲間で飲食・遊興に興じる。
【句意】誰も眠る人のない十七夜待である。
【付け・転じ】前句の魔法を月待の余興と見立て、十七夜待に特定した。
【自註】月待*日待の夜を明しける慰みとて、其あたり友とせし人々を集めて、御鏡餅**三寸徳利をそなへ、***旦那山伏は錫杖を振りならし、夜のふけゆく目覚しにとて、浄溜利(浄瑠璃)こうたに物まね、あるひはひとり狂言、又は****品玉、さま/”\の事して、いづれも大笑ひに心よく一夜を明しける。
*日待(ひまち)=月待に同じく特定の日に不眠のまま日の出を拝する行事。 **三寸徳利(みきどくり)=お神酒徳利。 ***旦那山伏(だんなやまぶし)=ふだん祈祷してもらう山伏。 ****品玉(しなだま)=曲芸や手品。
【意訳】月待・日待の夜を徹する余興として、近隣の友とする人たちを集めて、御鏡餅・お神酒徳利を供え、いつもの山伏は錫杖を振りならし、夜のふけていく眠気覚ましとして、浄瑠璃・小唄に物真似、あるいは一人芝居、または曲芸や手品、いろいろな事をして、誰もみな大笑いして気分よく一夜をあかした。
【三工程】
(前句)魔法にもせよ不思議成る隠れ蓑
日待月待さま/”\の芸 〔見込〕
↓
【句意】誰も眠る人のない十七夜待である。
【付け・転じ】前句の魔法を月待の余興と見立て、十七夜待に特定した。
【自註】月待*日待の夜を明しける慰みとて、其あたり友とせし人々を集めて、御鏡餅**三寸徳利をそなへ、***旦那山伏は錫杖を振りならし、夜のふけゆく目覚しにとて、浄溜利(浄瑠璃)こうたに物まね、あるひはひとり狂言、又は****品玉、さま/”\の事して、いづれも大笑ひに心よく一夜を明しける。
*日待(ひまち)=月待に同じく特定の日に不眠のまま日の出を拝する行事。 **三寸徳利(みきどくり)=お神酒徳利。 ***旦那山伏(だんなやまぶし)=ふだん祈祷してもらう山伏。 ****品玉(しなだま)=曲芸や手品。
【意訳】月待・日待の夜を徹する余興として、近隣の友とする人たちを集めて、御鏡餅・お神酒徳利を供え、いつもの山伏は錫杖を振りならし、夜のふけていく眠気覚ましとして、浄瑠璃・小唄に物真似、あるいは一人芝居、または曲芸や手品、いろいろな事をして、誰もみな大笑いして気分よく一夜をあかした。
【三工程】
(前句)魔法にもせよ不思議成る隠れ蓑
日待月待さま/”\の芸 〔見込〕
↓
日待月待目覚しの芸 〔趣向〕
↓
眠る人なき十七夜待 〔句作〕
前句の魔法を月待でのいろいろな遊興のひとつと見なし〔見込〕、〈なぜあれこれ遊興するのか〉と問うて、夜更けの眠気覚ましとし〔趣向〕、不眠の十七夜待に特定した〔句作〕。
↓
眠る人なき十七夜待 〔句作〕
前句の魔法を月待でのいろいろな遊興のひとつと見なし〔見込〕、〈なぜあれこれ遊興するのか〉と問うて、夜更けの眠気覚ましとし〔趣向〕、不眠の十七夜待に特定した〔句作〕。
*このように趣向・句作の距離が短いため、小学館・新編日本古典文学全集61では遣句体(やりくたい)と評してある。
『好色五人女』に十七夜代待(だいまち)という職業が記されていますね。
「なんや時代は移っても浮世の身過ぎ・世過ぎはさして変わらんいうことやな」
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「あー、代待いうんは米銭もろうて人様の代わりに月の出を待ってな、そん人に託された所願を祈るんやで」
あー、現代でいう代行業ですね。
「なんやそのダイコンいうんは」
いや、代行サービスといって、外出先で飲酒した人の代わりにマイカーを自宅まで運転したり、就職してすぐ退職する人の代わりに面倒な事務手続きをとったり、いろいろです。
「なんや時代は移っても浮世の身過ぎ・世過ぎはさして変わらんいうことやな」
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