西原天気
※相子智恵さんオヤスミにつき代打。
※相子智恵さんオヤスミにつき代打。
ざらざらとして初富士の光りけり 岸本尚毅
《ざらざら》は視覚からもたらされるのですが、たぶんに触覚的でもあります。つまり、触ってみたかのようなおもむき。遠景の富士山は小さくて(《ざらざら》が見えるくらいには大きいにせよ、小さくて)、手のひらに触れることもかないそうです。
稚気にも等しい《ざらざら》の描写ですが、それだからこそ初(うぶ)な富士の様子が、とてもかわいい。
句集の同じページに《東宝はゴジラの会社初御空》というポップ味に溢れる句がありますが、それにも負けず、ポップでキュートです、この、ざらざら光るお正月の富士山は。
掲句は岸本尚毅句集『雲は友』(2022年8月/ふらんす堂)より。
●
0 件のコメント:
コメントを投稿