おんつぼ013
キング・カーティス King Curtis
lugar comum
King Curtis 'Memphis Soul Stew' from the album "Live At Fillmore West" (1971)
しかしまあ、とっぷりと冬ですな、鍋の季節です。今晩は、洋風で行きましょう、ファンキーとグルーヴィーをぐつぐつ煮込んだ「メンフィス・ソウル・シチュー」。
主人公は、60年代の米ショービズ界で、R&B、ソウル、ジャズ、ロックなど汎ジャンルに吹きまくった黒人サクソフォニストのキング・カーティスです。セッションに呼ばれて吹くだけではなく、自己のバックバンド「キングピンズ」を率いて、恰幅のいいバンマスぶりを発揮。そのキングピンズからは、多くの優れたセッション・ミュージシャンが排出されました。
意外と多くのリーダー作を残していますが、十八番と言えばこのナンバー。R&Bインスト部門の最高峰と言い切って、文句は出ないはず。で、そのベストバージョンは、やはりこのフィルモア・ウエスト実況盤でしょう。
MCに導かれ、ベース、ドラム、ギター、オルガンがビルドアップされていくのですが、なんと呼ぶのでしょうか、このスタイル。メンバー紹介を兼ねたりするので、ライブではラストに持ってきたりしますね。実際、このフィルモア・ライブでも、アンコール・ナンバーだったらしいです。レコードでは冒頭に置かれています。
鍋に材料を次々と投げ込んでいく、という趣向のカーティスのMC、キマっていますね。で、呼び込まれる「食材」たちが、凄い。ジェリー・ジェモット(b)、バーナード・パーディ(ds)、コーネル・デュプリー(g)、パンチョ・モラレス(cong)、トルーマン・トーマス(ep)と、ここまでがキングピンズの当時の面子で、これにゲスト・オルガンのビリー・プレストン。どうです、つまらない演奏をやれと言う方がムリでしょう。無論、あらゆる箇所が、後世のサンプリングで拾われることになります。
まだ終わりません。ここから菅が加わりますが、まずは当時、大評判のメンフィス・ホーンズ。分厚いです。きてますね、“つぼ”ですね。で、最後に御大が登場。うねりまくるサックス。何も言うことはありませんね、“チビり初め”ですね。
キング・カーティス、ちょうど脂の乗り切った37歳のプレイでした。残念なことに、このライブの直後、彼は自宅近くの路上で見ず知らずの暴漢に刺され、命を落とします。キングピンズの残党たちは、その後、名セッションバンド「スタッフ」として生まれ変わるなど脚光を浴びたあと、いまも、キング・カーティス時代をリスペクトするかのような演奏マナーを続けています。
ごった煮度 ★★★★
ファットバック度 ★★★★★
▼別バージョン。ビリー・プレストンとメンフィス・ホーンズは不在ですが、貴重な「動くキングピンズ」。
2009年1月22日木曜日
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1 件のコメント:
転調するところいい感じ!真摯で熱いグル−ヴですね。
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