中嶋憲武
鳩はみな西口にいる秋ぐもり 笠井亞子
なあんにも無いところだったのに、大きなデパートが立ち、レストランができて、駅前に広いロータリーができた。ここ2、3年の変わりようはすごい。わたしは駅の券売機のところで、お姉さんを待っていた。連休で、東京から帰ってくるお姉さんと、できたばかりのピザ屋さんでディナーを取る約束をしたのだ。妹のわたしは、お金を出さない。中学生なので仕方ないと言えば、仕方ないのだが少々歯痒くもある。
待っていると、スーツを着た40歳くらいのおじさんに道を聞かれた。すらすらと教えてあげると、おじさんはにこにことわたしの顔を眺め、頭からつま先まで眺め、ぼくのアマンにならないかと言った。アマンという言葉の意味は、分からなかったけれど、直感的になにか嫌らしい、なにかみだらな感じがしたので、思いっきり渋面をつくって、きっぱりと嫌ですと言ったら、おじさんは、にこにこと、そうと言って去って行った。おじさんの遥か頭上で、レース鳩が行ったり来たりしていた。
掲句は「はがきハイク」第2号(2010年10月)掲載
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3 件のコメント:
アマン、ですか? 不意を突かれました(笑)。
アマンといえば一度お目にかかった朝吹三吉氏をどうしても思い浮かべますが、それはさておき。きのうのことのようでもあり、はるか昔のようでもある風景です。わたしの「妹性」が見てきたよう! あ、ハタチのころ会った足首フェチのおじさんを思い出した……。レース鳩っていうのもなつかしいな。ありがとうございました。
やはりラマンと記すべきだったのでしょうが、ラマンといえばルネ・マルグリット・デュラスのあれなんで、自動筆記的にアマンと書いてみたわけです。感想をいただけて有り難き仕合せにございます。
木の実ナナのファンとしては断然「アマン」ですね。阿木燿子作詞宇崎竜童作曲。♪アマン それだけなの アマン あなたにとって アマン 私とのことは アマン 遊びだったの♪
なんか、かまちよしろうの「ペンギン侍」の犬のジョーみたい。アマンw。
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