誌上句会「福助」・選句一覧(4)
選句一覧と作者です。句数が多いので、1日1題ずつ、4日間にわたって発表させていただきます。
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【足袋・靴下・ストッキング・下着関連】
替への足袋入れてすなはち旅の荷に 小川春休
■読者は「そうですか」としか言いようがない。(るる)
■芸人さん? 中原さんならそんな事も。(痾窮)
儚いとつぶやくことも夜の下着 sono
○沖らくだ
■詩的なんだか下世話なんだかよく分からないところが好き。(沖らくだ)
■諦念諦観、歳と共に不如意に。(痾窮)
■下着は儚い、下着を脱いで現れ出でた真のリアルをただ耐えよ。(知昭)
海からの霧シュミーズのような霧 天気
○信治○藤幹子
■白黒の怪談映画のような景。(信治)
■しっとりすべすべで少し冷たくてその奥は見通せない。素晴らしい。(藤幹子)
■悪くないが、リフレインが効いていない。「海からの霧シュミーズのごときかな」だったら採る。(るる)
■直喩の説明。(痾窮)
■薄い生地のような霧、との見立てはなかなか。(知昭)
靴下を重ねてまるめ露時雨 どんぐり
○中村遥○岡本雅哉
■〈露〉といえば儚さを思うが凛とした美しさもイメージする。靴下をきちんと重ねて丸めて畳む人の凛とした姿が目に浮かぶ。そしてその人の生き様まで伺えるよう。(中村遥)
■露時雨の中に帰ってくる人のために、 靴下をセットしてあげているのかな?(岡本雅哉)
■結果、原因。(痾窮)
秋風やドロワーズ穿く偽メイド るる
○内田董一
■原因・結果か? しかし「偽メイド」という言葉、俳句にするなら今のうちでしょう。先を越されました。(内田董一)
■メイド喫茶、ご愁傷様。(痾窮)
ブリーフは履かずに蚯蚓鳴きにけり 知昭
○山田露結○真冬○廣島屋○痾窮○岡本雅哉
■パンツをはかない人がいる。学生だった頃(約20年前)、あるブティックのオーナー主催の忘年会(ブティック主催とは言っても普通の居酒屋の座敷だったが)に出席したところ、なんと甲本ヒロト氏が来ていた。歌ったり踊ったりと賑やかな宴会だったが、場が盛り上がってきたところで、誰かがヒロト氏に「ヒロトさん、パンツはかないって本当ですか。」と聞いた。するとヒロト氏は「はかないよ。」と言いながらジーンズのファスナーを下ろしたのだった。確かにはいていなかった。そこにいた全員がヒロト氏のありがたいものを拝ませていただいた。掲句の、ブリーフをはかない理由はよくわからないが、その意味不明な行為と「蚯蚓鳴く」という風変わりな季語との取り合わせが面白い。あれ?でもこれ、単なるエッチのあとの自虐的シモネタか?
■ブリーフこそ鳴く蚯蚓と類想される質感なのですね。季語の嘘を嘘にさせないように嘘をついています。(真冬)
■ブリーフは「履く」のではなく「穿く」のが正しいと思います。でも面白い。(廣島屋)
■ミミズにブリーフは無理。(痾窮)
■秋なのに、ブリーフを履いていないのは情事のあとか。 ブリーフに中年の哀愁が。(岡本雅哉)
■ブリーフを穿かずにGパンを穿いている感じか、それこそフルチンなのか。蚯蚓鳴くでどう繋がるのか、思いを巡らすのにはいいのですがちょっと遠 いでしょうか。(小早川忠義)
五本指ソックス左だけに穴 沖らくだ
○sono○埋図○小早川忠義○正則○風狂子
■五本指ソックス愛好者としては外せません。あれは穴が空きやすいのです。ただのソックスと違って左右がはっきりしています。先に穴が空く側は決まっています。納得の一句。(sono)
■右とか左とかはっきりしないのが靴下なのだが、そうとは行かないいやな奴がある。困ったものだ。国家賠償が嫌だとか、財政負担が嫌だとか、銭を何かに使いたいと思っている連中がそんなことばかり云うんだ。(埋図)
■左に重心がかかって擦り切れている靴下。それも五本指とは。仕事に真面目でちょっと癖のある姿勢の男なんかを思い浮かべます。一読してなんでも ないところが逆に興味を引きます。(小早川忠義)
■最近では、5本指の靴下も、作業用以外にもよく見かけるようになった。私の作業用の靴下も洗濯して穴が開くことがあり、これには右左があるのがよくいえている。(正則)
■実景にして色々な深みを感じさせる(風狂子)
■左側の靴下に穴があると云う内容では、五本指の靴下と云う設定に意味がない。指のところに穴がある、という内容にしたらいかが(るる)
■ま、そういうものです。(痾窮)
身分証明書入りTシャツ2月後悔する新年 埋図
■確かに大変。でも、報告を越えてほしい。(るる)
■不勉強につき読解不能。(痾窮)
足袋履いて辻中に木の実落ちたる 宮本佳世乃
○文香
■「たる」でわかる、しばし驚いたままの彼。彼の目は木の実のように丸く。(文香)
■「辻中」が解らない。(痾窮)
■「辻中」が妙味、そうそうこの言葉は出てきませんよ。(知昭)
ストッキング破らふ秋の虹すぐに消え 近恵
○痾窮○知昭
■あせりなさんなって!(痾窮)
■わざわざ「破らふ」と言うにはよほどの訳があるのか、それとも秋の虹が早々消えてしまっていらいらしてしまうのか。ストッキングも秋の虹も、どこかはかない。(知昭)
靴下の見得を切つたる村芝居 義知
○文香○鈴木不意○猫髭○中村遥○恵
■君の靴下にくぎ付け。靴下しか見えない。(文香)
■役者の足元を見たら足袋ではなくて普通の靴下だったという、まことしやかな句。でも村芝居なら許せる。(鈴木不意)
■村芝居だからこそ足袋を履くだろうから作り過ぎの感もあるが、どこにも粗忽者はいるのだろう。(猫髭)
■靴下が面白い。かわいい子供歌舞伎の役者を思う。(中村遥)
■足袋に替えるのを忘れちゃったんでしょうね。見てるこっちはもうそれに気がついたらそこばかり気になってしまう。可笑しいです(恵)
■「靴下を履いたまま」は「靴下の」に省略できない。(るる)
■時代劇で衣装をけちった。(痾窮)
銀杏もみぢ足袋に込めたる指ゆるぶ 文香
○宮本佳世乃
■ちょっとゆるんだ感じがいいと思います。(宮本佳世乃)
■私自身で言えば靴を履かない生活が続くと足指は成長します、足袋の方が伸びたのでしょう。(痾窮)
秋の夜のズロース踏んで帰りけり 山田露結
○小川春休○天気
■部屋の情景やその持ち主、持ち主と作中主体の関係性などなど、「ズロース」から連想がぐんぐん広がります。他の下着類にはないパワーが「ズロース」にはある。ズロースパワー。(小川春休)
■これ、相手はクロウトですね(天気)
■こういう、ロマンなき四畳半ちょんの間も、また良し。(藤幹子)
■洗濯物が落ちているのはあり得ること、でなければ事件。(痾窮)
高西風や絹の靴下たくし上げ 小早川忠義
■「や」切りの必然性が不明。(痾窮)
ランニングシャツ干してある秋桜 信治
■風景。(痾窮)
肉まんにふんどし遠く落葉掃く 真冬
○文香
■まさか、肉まんが何かのメタファーなはずがない。まさか。(文香)
■物ABCの自己主張強し。(痾窮)
■きりっとふんどし締めて、新蕎麦をさらりとすすりこむ、いやあ男の句だねえ。(知昭)
ストツキングはいて始まる愁思かな 中村遥
○風族○山田露結○鈴木不意○中塚健太
■おかまさんの句として戴きました。(風族)
■おそらく、ストッキングをはいているのは男性だろう。ストッキングの下にはパンツも何もはいていない。股間には網で救い上げたモズクのような盛り上がりが見える。この情けない男性の姿を言い止める季語は、やはり「愁思」なのだろう。(山田露結)
■朝の出勤の支度だろうか。普通に読めば朝のOLさんの憂いかな。これを、夜の出来事と深読みしたら、話は違ってくるのだが。(鈴木不意)
■出社前の景とすると、会社へ行くのイヤだなあと思いつつ、ストッキングを履いて戦闘モードに切り替わるという心理はよくありそうです。が、心底イヤな場合、行かなくちゃと思って起きたものの、何かの行為で、この場合ストッキングを履いたところで、急に辛くなるということもありそうに思います。(中塚健太)
■作中主体が男性なら当たり前。女性なら、読者に愁思の理由がわからない。(るる)
■敢えて無季にしたのか?朝より夜の不首尾な逢瀬の後のストッキング。(痾窮)
秋雲のあたり靴下干しにけり 中塚健太
○宮本佳世乃○義知
■こういう生活がしたいもんです。(宮本佳世乃)
■靴下を干そうとしたらその先に秋の空。雲に洗濯物をひっかけたよう。(義知)
■風景。飛行機雲にでも干してほしい。(痾窮)
前貼りの君ピースする夜食かな 藤幹子
○廣島屋○痾窮
■下着関連という兼題で「前貼り」とは……やられました。(廣島屋)
■「かな」止めは厭だけど。AVの撮影現場が見えるよう…(痾窮)
■「君」が男性なら、前貼りが取れてしまう事を心配した方が良い。食べている場合でない。女性なら、男性が襲ってくる事を心配した方が良い。魅力的な光景だが、公序良俗的に問題。(るる)
■スゴイ図柄だ。下着じゃないし^^;度胸に一票入れたいところですが、次点でスミマセン。(沖らくだ)
靴下を脱ぎ散らかして三島の忌 内田董一
○埋図○小早川忠義
■そう言えば、そんな名前の人がいた。大政奉還とか云って、天皇を担ぎ出したのもいたが、アメリカ政治家も、天皇を利用したっけ。それを三回も持ち出したなんて信じられるか。まるで靴下を履き替えるようにだ。でも思い出すなあ、中学生の時、天皇に手紙を出したいと思いたった。宛て先が分からんから、担任の教師に聞いたが、知らないようだった。いや、校長まで出て来て、どんなことを書くのかと言う。天皇になるのはどうしたらいいか直接聞きたいと正直に云った。呆れたという顔で、勉強が足らんぞと云われ、諦めた。世襲じゃんか。担ぐしかないじゃんか。(埋図)
■憂国忌であるならば、講堂に集団で正座しながら黙祷をといったところでしょうか。我先に並ぼうとして脱ぎ散らかされた靴下の先にはこの上ない静寂が。(小早川忠義)
■自刃する時は靴はそろえる、靴下も。(痾窮)
菊月のガーターベルト爆ぜにけり 猫髭
○真冬
■菊月が効いて「太ったので爆ぜた」という線が和らぎます。駆逐艦「菊月」を遠望してしまいました。(真冬)
■はぜる、が肉感的で好きです。(藤幹子)
■なぜ菊月?(るる)
■馬も女も肥える秋。(痾窮)
靴下の片われさらば雁渡し 風族
○義知
■靴下の形が雁行の鉤型に似るか。(義知)
■季語との関連理解不能。(痾窮)
下着まで取替え本家の墓参り 正則
○風族○岡本雅哉
■こういう嘘は好きです。(風族)
■下着まで取り替えるのは奥さんか。 本家と分家の相容れなさ、よそよそしさを感じました。(岡本雅哉)
■なかなか良い句。知りたくない内容だが、面白い。(るる)
■「本家の」で無くても良い事も悪い事も何時何が有るか解らないので外出時の下着は…(痾窮)
十六夜の軍足干され足二本 鈴木不意
■3本なら怪奇、1本なら痛ましい、2本で結構。(痾窮)
新蕎麦や六尺締めてゐるといふ 廣島屋
○内田董一○真冬○藤幹子○どんぐり○恵
■季語と六尺は近いかも? しかし下五で伝聞にしたことで、ソバも褌も句そのものも、のびてしまったような、面白いイメージが生まれていました。(内田董一)
■「といふ」が作者とふんどし男子との距離をささやき、その実感を新蕎麦がほどよく湿らせています。(真冬)
■ちょっと驚きが感じられるのが良いです。蕎麦屋という舞台も効いている(藤幹子)
■職人はこれでなくちゃあ。(どんぐり)
■そんなどうでもいい情報いらないとか思いながらも話を広げて盛り上がってしまう、そんな蕎麦屋でのワンシーン。ネタとして面白すぎです(恵)
■「六尺締めてゐるといふ」が巧い。(るる)
■「新蕎麦」なので、かくしゃくとしたお爺さんを連想しました。蕎麦屋の常連なら、こういう人いそう。(沖らくだ)
■蕎麦を喰いながらの話題としては不適切か?(痾窮)
行く秋のパンツの内のわだかまり 痾窮
○信治○sono○沖らくだ○小川春休○風狂子
■「行く秋」が動かないw(信治)
■「わだかまり」とはパンツに仕舞われているもの、ということを学ばせていただきました。(sono)
■なんというか…^^;笑ってしまったので一票。いつでもありそうで、やっぱり「行く秋」だからこそ「わだかまり」なのかも、と妙な納得。(沖らくだ)
■パンツの内のわだかまりは、性や排泄、あと病、などなど様々なものを思わせます。程よい生々しさに好感を持ちました。(小川春休)
■冬に向かうアンニュイな感じを絶妙に表現(風狂子)
■季語の斡旋により、生理現象が起こす喪失感とフラストレーションがうまく出ている。ただ、「よくわかります」以上の反応を期待できない。(るる)
■これ、女の子の作品だったら魂消ますが、「内」より「中」ってやった方がとことん下品になって良かった気がします。(小早川忠義)
■永遠の「わだかまり」。生きていくかぎり逃れられない「わだかまり」(天気)
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ご参加のみなさま、ご観覧のみなさま、お疲れさまでございました。ご参加のみなさまには、選句要領等、ご協力いただき、ありがとうございました。
また、時機を見て、やりましょうか。誌上句会。(当番・天気)
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14 件のコメント:
さいばら天気さま、ありがとうございました。とても楽しかったです。
さいばら天気さま
楽しい句会ありがとうございました!次回を楽しみにしております。
天気さま
楽しい句会でした。選んだ句以外の句にも少しは触れればよかったと後悔しきりでしたが、たぶんそれをやってたら選句締め切りをかなりオーバーしたかも、とも思っています(汗
この楽しい句会でご一緒させていただいた皆様にもお礼を申し上げます。またネット/リアルでお会いできますように。
さいばら天気様
参加者としてはちょいちょいっと2回ばかりメールを送信しただけなのに、この満腹感。これだけの分量を捌くのはたいへんだったと思いますが、お陰さまで2週間もの間、ワクワクして楽しめました。ありがとうございました。
さいばら天気様
楽しい句会どうもありがとうございました。
吟行、写生で句作りをしている私には皆さまの句は刺激的で面白く大変楽しませて頂きました。
また、結社を超えた句会という所での題の出し方、投句の仕方、句会の進め方、選後の発表の方法等、天気さんのスマートさを感じました。選句以外の選評はいいなあと思いました。是非ともまた、機会を作って頂けますことを願って、天気さま、皆さま、ありがとうございました。
天気さん取り纏めお疲れ様でした。おそらく若い人が多いと思いますが「俳句」を楽しもうと言う姿勢がありありとで、楽しい句会でした。また、企画して下さい。逆選ありの句会だともっと面白く成るかも。そのおりは逆選トップを目指します。痾窮
天気さん、取り纏めありがとうございました。句数が多かったので大変でしたでしょう。お疲れ様でした。誰が出しているのか解らないという句会もなかなか面白い趣向で大いに楽しめました。また是非、突発的に始まることを期待しています。
みなさま、ありがとうございました。
非常に刺激的な句会でした。
ホントに俳句も選も色とりどり、という感じで、大変楽しかったです。
頂いた句も取りこぼした句も他の人の選評を読んで、あちゃ~、と思うこと多々あり。自分が読み切れなかった句の選評はとてもありがたいです。うーん、もっと修行しないと^^;
参加して良かった。
天気さん、とりまとめ、ありがとうございました。お疲れさまでした。
係の方にはひと苦労でしょうが、ぜひまた、開催してください。
さいばら様
はじめての句会がこの句会でよかったと思います。ありがとうございました。
ふだんは短歌を詠んでいるので、
とっても新鮮な体験をさせて頂きました。
天気さん、みなさま、たのしかったです。ありがとうございました。
AQさん、全句コメントお疲れ様でした。皆さんのコメントを読むのも面白く、ON句会なら、議論が発展しそうな句もたくさんありましたね。
またよろしくお願いします。
(今回、初めて俳号(本名)を書きましたが、苗字も名前も出たときに思った以上に恥ずかしかった。みんなはいつもこんな気分なのかとびっくりしました!)
さいばら様
ありがとうございました。
わが福助句(前列の福助伏し目兜虫)、
「Sgt. Pepper's のつもりだった」
と句友のS・Sさんに言ったところ
「わからんかった」との返事でした。
やっぱり、そうだったか(笑)。
さいばら様
twitterでも言いましたが、結果はどうであれ句会を「交える」ことができて感謝しております。作業大変だったと思われます。お疲れ様でした。
上手い下手とかじゃなくてどう捉えられるだろうか、こう選をして正しかったかとハラハラドキドキさせられました。
またonoff機会のあります時に。
労をねぎらっていただいて、ありがとうございます。恐縮です。
でも想像されるより軽作業なのです。
エクセルとコピペ。
その意味では、みなさま、ほんとうによく、リクエストした書式を守ってくださり、助かりました。書式が不統一だと骨が折れるんです(誰が当番しても)
あらためて御礼申し上げます。
あ、まだ、ご歓談ください。
とてもエキサイティングな二週間でした。無所属なので句会というものには不慣れでしたがなんとか恥はかかなかったかなというのが実感です。
こういう機会を与えていただいて感謝です。
ありがとうございました。
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