2015年4月3日金曜日

●金曜日の川柳〔亀山恭太〕樋口由紀子



樋口由紀子






かしこい事すぐに言いたくなる阿呆

亀山恭太 (かめやま・きょうた) 1928~1993

ああ~確かに。自分のことを言われていると思い当たる人も多いだろう。私もすぐに言いたくなる方だ。そういう類のことを多々やってきてしまっている。反省はするのだが、何度も同じことを繰り返している。誰もがそんな一面を持っている。そこを上手く突いている。が、箴言的にあるいは否定的に捉えているのではない。

関東と関西では「阿呆」のニュアンスがかなり違う。作者は関西人。関西の「阿呆」にはもうしゃあないなという半ばあきらめに似た心境を含んでいて、愛嬌がある。なによりも言葉に愛情がへばりついている。人はそうそうりっぱには生きられない。「阿呆」がうまく作用させて、自嘲気味に言っているのだろう。

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