浅沼璞
夕涼み草のいほりにふんぞりて 意楽(前句)
頓死をつぐる鐘つきの袖 同(付句)
『大坂独吟集』上巻(延宝三年・1675)
草庵でひとり夕涼みをし、誰憚ることなくふんぞり返っている。
かと思いきや、それは頓死で、涙の袖が鐘をつく。
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宗因の評語に「卒中風(そっちゅうふう)、夕涼み過ぎ候か」とある。
つまり脳卒中の原因は夕涼みをしすぎたためか、というのである。
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「ふんぞりて」の気楽さを「頓死」に取り成した無常の付け。
談林的な諧謔がスピード感をうむ。
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〔作者の意楽(いらく)は辻尾氏。俳諧執筆のプロ。『西鶴大矢数』の執筆も務めた。〕
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