【週末俳句】
隔離の日々
小津夜景
いま東京のマンスリーマンションで「帰国者の自主隔離」にいそしんでいる。いつもは海のある田舎でのんびり生きているから、都会のマンションに籠っているのがつらい。
公共交通機関をつかうことも、喫茶店やレストランに入ることもできない。家のまわりを散歩するのは許されているものの、歩きながら「海はどこ…どこにも海がないよ…」とつぶやいている。
そんな散歩の途中で、ちょっといい感じの寺の前を通った。見ると吉祥寺とある。吉祥寺という街は、この寺のまわりに住んでいた住民が、火事のあとに移り住んだことでその名をもつらしい。なるほど。
ときどき知人から「マンションでなにしてるの? ひまでしょ?」といった連絡が来る。はい。ひまです。ただしひまなのは気分の話。用事がなければこのコロナ下に帰国などしないのであって、やるべきことはたくさんある。
そのうちのひとつが拙著『いつかたこぶねになる日』の版元である素粒社の北野さんが企画した、池澤夏樹氏とのオンライン・トークイベント「小津夜景って何者?」だ。すごいタイトルですみません。自分でも恥ずかしくてもう。もっともこのイベントは帰国の理由とは無関係で、しばし日本に帰りますと北野さんに伝えたら即座にイベントを入れてきたのだった。池澤氏も北海道という海外にお住まいなので、このたび東京でお目にかかれるのはまったくの偶然。ふしぎなことって起こるんだなあ。詳細はこちら。チケットを購入すると、当日無理な方も1週間のアーカイヴ視聴ができます。
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