樋口由紀子
雨戸まで閉めて枯れ野のふりをする
倉本朝世 (くらもと・あさよ) 1958~
社会に対しての、共同体に対しての違和感表明のようである。そこまでする必然性があるのだ。雨戸まで閉めて、真っ暗にして、外の世界と遮断する。「枯れ野のふり」がどんなものなのかは具体的にわからないが、具体的な行動からの一風変わった精神風景が描き出されている。
なぜそうなのか。どうしてそうなのか、などの理由や説明をすることなく、その周辺を書いて、自身の鋭敏な感覚浮かび上がらせている。「枯れ野のふり」の喩の機能が効果的に使われていて、「ふり」はみずみずしい感じもする。そうすることによって自分を保持していく。『現代川柳の精鋭たち』(北宋社 2000年刊)所収。
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