相子智恵
うにやうにやとしやべりだす猫明日は春 草子洗
句集『由布久住』(2024.5 飯塚書店)所収
今年は昨日の2月2日が節分、3日の今日が立春となった。
掲句、節分である。明日は立春だな……と思っていたところに猫が〈うにやうにや〉と、まるで喋り出したかのように鳴いた。
〈しやべりだす〉は擬人化で、俳句の技法としてはあまり好まれないところだが、猫の鳴き声が人間のように聞こえるというのはよく経験することで、実感があった。猫の鳴き声が、赤ちゃんの泣き声に似ていてドキッとしたことが、筆者にも何度もある。
〈うにやうにやとしやべりだす猫〉の語呂や平仮名表記もよく考えられており、〈明日は春〉の下五も相まって「ア」の母音が多くて全体が明るい。猫も浮かれているように感じられてくる。そういえば、春は猫の恋の季節でもあるのだ。
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