西鶴ざんまい 番外篇28
浅沼璞
大阪・鳥取と巡回し、「幕末土佐の天才絵師・絵金」展が漸う六本木・サントリー美術館にやってきました(9月10日〜11月3日)。
さっそく見に行ってきましたが、感想は後期の展示替えを待ってからとし、私事ながらこれまでの絵金体験をまとめておこうと思います。
●1978年頃 大学の近世文学ゼミ担当の廣末保先生の著作『もう一つの日本美――前近代の悪と死』(美術出版社)により絵金の存在を知る。
その後、バイト代をためては絵金関連の書籍を古本屋にて求める。廣末先生が編纂された未來社のものや月刊パンチSMの増刊号など諸々。
●1995年夏 高校教師として忙殺されていた折、新潮社のとんぼの本『絵金と幕末土佐歴史散歩』を図書室で手に取り、久々に耽読する。
土佐の夏祭りに飾られる芝居絵屛風の現況のほか、笑い絵の多様な面白さも知る。
●2005年頃 フリーの教師・フリーチャーとして気ままな生活を送る中、かつて入手を諦めていた限定500部の豪華本『絵金 EKIN』(光潮社)の一冊を渋谷の某古書店で発見。手持ちがなかったので取り置きしてもらい、後日購入。
尚その際、店内にいらした詩人の百瀬博教氏に話しかけられ、しばし絵金談義。それを機に(急逝されるまで)交流して下さった。これも絵金さんによる御縁。
●2010年秋 板橋区立美術館「諸国畸人伝」展にて播州皿屋敷・鈴ヶ森・累(かさね)等の代表的な芝居絵屏風を初めて実見する。
しかしボストン美術館の浮世絵なみの修復が施されており、西鶴に通じるあの滑稽さや、鶴屋南北に通じるあの野卑な感じが薄れ、極彩色豊かな修復屏風に興覚めの感なきにしもあらず。
以降、絵金への興味は正直うすれ、今回の巡回展にも不安がなかったわけではありません。ありませんが、大阪・鳥取では展示方法や照明に工夫があったとの由、伝え及び、ひそかな期待を胸に、東京での大規模展に臨んだわけですが、詳細は次の番外篇にて暫し/\。
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