HDR
長谷川裕
露出を数段階ずらして撮影、一枚の画面に統合するHDR(ハイダイナミックレンジ)合成がブームである。暗部、明部のディテールが精細に描き出され、写真というよりは絵画の描写に近い。デジタルならでは可能な画像だ。一見、異様に見えるが、それは従来の写真に私たちが慣らされてきたからであって、私たちの意識はむしろこのように外界を見ているのだと思う。おそらく、すぐ飽きられる。従来の写真のように「見えない部分」がないからだ。絵葉書的にすべてを説明されてしまうと写真はつまらない。写真は意識がコントロールする「肉眼」とはべつの画像だからこそ面白い。つぶれた暗部や飛んでしまったハイライトに隠されたもの、それが写真の魅力だ。なんでもそうだが、いわずもがなの説明過多はお楽しみを奪ってしまう。Richo GRD 5.9mm F2.4
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