〔祐天寺写真館 08〕
収集日
長谷川裕
よく路地のゴミ箱に身をひそめてかくれんぼをしたものだ。紙切れにまじった茶殻、吸い殻の匂いはいまでもよく覚えている。町工場のゴミ箱からは、ベークライトの破片を拾い集め、それをセメダインでくっつけ、いろんなものを作って遊んだ。ドブ川に沿った空き地にゴミ捨て場があり、ちいさなスモーキーマウンテンのようになっていた。そこからあれこれ掘り出して、家へ持ってきては叱られた。他の空き地には、おそらく映画会社かなにかの撮影用だと思うが、シボレーのパトカーが捨てられており、それに乗り込んで警察ごっこをした。楽しかった。ゴミや廃棄物には魅力がある。街のゴミをせっせと拾い集め、自宅をゴミ屋敷にしてしまう人がいるそうだが、きっと子どものころのままなのだろう。
Nikon F3 Ai-S Nikkor 35mm F2
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2009年3月10日火曜日
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