細見綾子くるかも。(上田信治「『俳句』2009年3月号を読む」)
●細見綾子(1907-1997)抄
死ぬふりを子蜘蛛ながらにして見する
そら豆はまことに青き味したり
ぬくい日寒い日春を暮らすなり
つばめつばめ泥が好きなる燕かな
黄金虫行くところ無き羽たゝむ
以上『桃は八重』1930-1941
春近し時計の下で眠るかな
青梅の落ちたる音のひろがらず
鶏頭を三尺離れもの思ふ
片方の足袋のありしは障子ぎは
以上『冬薔薇』1942-1951
風邪の子に屋根の雪見え雀見え
以上『雉子』1952-1555
枯野より戻りビー玉で遊ぶ
肉買ふや冬の太陽熟して落つ
一日こもる水栽培の青き芽と
胸うすき日本の女菖蒲見に
秋日沁むふとんの縞のたてよこに
以上『和語』1956-1968
木蓮のため無傷なる空となる
水仙の切り時といふよかりけり
以上『伎藝天』1969-1973
春の雪地につくまでを遊びつつ
紫のぶだうを置いて雨の音
犬ふぐり海辺で見れば海の色
今立ちしばかりの虹に春田打つ
以上『曼陀羅』1974-1977
compiled by tenki
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