コモエスタ三鬼 Como estas? Sanki
第31回
高きより
西原天気
映画『第三の男』(キャロル・リード監督/1949年)の観覧車のシーン。悪党ハリー・ライムは、地上をはるかに見下ろし、行き交う人を指して、「あの小さな点が動かなくなっても、それで大金が手にはいるなら、気にはならないだろう?」(大意)とうそぶく。闇で捌いているペニシリンが原因で人が死んでも、知ったことではない、というわけ。
高いところに登ると、人が虫のように小さくなる。人をひねり潰すことには罪悪感を感じても、虫なら、感じない。高所はしばしば神の視座となる。
穀象の群を天より見るごとく 三鬼(1947年)
数十センチの眼下ではあっても、三鬼の視座は「天」のものだ。
三鬼は悪党ではないが、悪党的な達観は、しばしば句に現れる。オーソン・ウェルズの演じたハリー・ライムも、三鬼も、なかなかの伊達(ダンディ)。
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2012年5月31日木曜日
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