2012年5月28日月曜日
●月曜日の一句〔鳴戸奈菜〕 相子智恵
相子智恵
ふつつかな雄鶏といる短夜の 鳴戸奈菜
句集『永遠が咲いて』(2012.4/現代俳句協会 現代俳句コレクション1)より。
「短夜の」と、一句に続きがあるような終わり方が印象的だ。
どことなく柿本人麻呂の和歌「あしひきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む」を思い起こさせる。「雄鶏」と「山鳥」、「短夜」と「長々し夜」あたりのイメージと、「の」でつながっていくような感じからである。一句をそのまま読んでも俳味があって面白いし、和歌とイメージを比べて読んでみても、また面白い。
人麻呂の和歌は「ひとり」だが、こちらは気が利かない雄鶏と一緒に過ごす、夏の短くて明けやすい夜だ。夜だから雄鶏は夜目がきかず、動作がさらにおぼつかないのだろう。不器用な雄鶏があわてているようで、「ふつつか」に愛嬌がある。
そんな雄鶏といる「短夜の」の続きがどうなったのか、気になって仕方がない。続きが気になる俳句、というのもめずらしい。下の句をつけて遊びたいような句だ。
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