2013年5月7日火曜日

【俳誌拝読】『鏡』第8号(2013年4月1日) 野口裕

【俳誌拝読】
『鏡』第8号(2013年4月1日)

野口 裕


各人一句。気が向けばコメントを。

冬天やひとこと欄に文字はなし
  東直子

「文字はなし」と書けば、文字が溢れかえる不思議さをあらためて思う。否定形に似合っているのは冬。

猫の子を筆であやして大人めく  佐藤文香

「大人めく」と書いて、モラトリアムの気分か。猫の子とネオテニーの対比。

うすらひに触れて指先すこし反る  羽田野令

的確な描写と見えて、「反る」という行為の秘める含意もまた、高柳重信の「身をそらす虹の」うんぬんを参照したくなる。

朝寒の駅大勢のわれ急ぐ  遠山陽子

雪をんなしづくきらきらしてゐたる  谷雅子

春の夜の商談怒号に終るとや  大上朝美

くちびるのわづかなる揺れ雪催  笹木くろえ

海賊の仲間になれる宝船  寺澤一雄

初夢のジャックスパロウ女からビンタ。

川べりに自転車並ぶあゆの風  村井康司

暖房の風に頁の揺れている  越智友亮

ガードレールを横ずさりして寒鴉  中村裕

爪立ちて探す本あり日脚伸ぶ  森宮保子

地球儀をつぶすおつぱい百千鳥  大木孝子

アマゾネスの裔か。

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