2014年3月12日水曜日

●水曜日の一句〔打田峨者ん〕関悦史



関悦史








地平線けふも跨がず五月の巨人   打田峨者ん

大きな空気感が捉えられた句。

地平線を跨がずにいる「五月の巨人」は実体を持った巨人というよりは、「五月」そのものの形象化ととるべきだろう。実体がいつまでもその辺に居るのでは鬱陶しいばかりとなり、「地平線」の見晴らしの良さにそぐわない。

同じ「五月」を通じて人間以上の何かと通じ合う句でも、《目つむりていても吾を統ぶ五月の鷹》寺山修司のピンと張りつめた自恃のようなものと比べると、こちらは大分寛いでいる。

「跨げず」ではなく「跨がず」であり、ここには数日にわたって続く広大な初夏の自足がある。


句集『光速樹』(2014.2 書肆山田)所収。

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