ほおづき
近 恵
子供の頃、庭のほおづきをよく食べた。
鳴らしたりはしない。赤い皮をぱりぱりと剥いて、中の宝石のようにぴかぴかつやつやした丸い実を口に放り込み、齧る。
中からすっぱ苦い汁がでてきて、種っぽい実をじゃりじゃりっと齧る。皮は少し厚いので、最後まで口の中に残る。それを奥歯で擂り潰すように砕き、飲み込む。ほおずきは大きくって、火のようなオレンジ色だった。
その大きなほおづきは、当時家で飼っていた犬のゴンが日々マーキングをしてくれていたおかげでスクスクと育っていた。人の家に行くとほおづきが仏壇に飾ってあったりしたけど、家には仏壇がなかったから、ほおづきは飾られることなく食べられた。
特に種をまいた覚えもないが、ほおずきは毎年同じところに生え、毎年ゴンのマーキングを受け、毎年スクスクと育ち大きな実を付けた。青い皮が少しずつオレンジ色になってゆくのが楽しみだった。
ほおづきは食べ物です。
あかあかと四万六千日の舌 恵
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2 件のコメント:
恵さん、高円寺の例の店に四万六千日で買ってきた酸漿がぶら下がっています。わたくしは鳴らしごろと見ましたが、恵さんは食べごろと見るのですね。
MリーさんとJローさんと酸漿料理を考えてみます。
猫鬚さん、昨晩その酸漿拝見いたしました。確かにそろそろ中の実も真っ赤になっていそうで食べ頃だ!と思って見ておりました。
それにしても最近の酸漿は随分と大きいんですね。驚きです。
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