恋のハンムラビ法典
上野葉月
週刊俳句に『恋の平行四辺形』を掲載してもらってから半年近く経ちました。
http://weekly-haiku.blogspot.com/2010/04/blog-post_18.html
http://weekly-haiku.blogspot.com/2010/04/blog-post_25.html
幸いなことに(決して大量ではないがそれほど少数でもない)読者に恵まれ、概ね好意的な感想をいただきました。ありがとうございました。
この半年間、オンラインオフラインでこの小説に関する質問がいくつかありました。個別に回答していくことも可能なのですが内密にしなければいけないような回答でもないのでここで一気に答えさせてもらいます。
Q.この小説は17万字!なのか? 19万字!なのか?
数えたことがないのでわかりません。某MS社のソフトにコピー&ペーストしてプロパティを見ればすぐわかると思うので気になる方はお試しください。
ちなみにこの『恋の平行四辺形』は当初、東京-金沢間の五時間の会話を読者に五時間かけて読んでもらおうという意図で書かれたものなので、初稿はもう少し長かったのですが、今回「週刊俳句」に載せるに当たって新幹線での会話部分をかなり削りました。初稿は確か原稿用紙550枚相当だったような記憶があります。
Q.小説内の俳句は全て葉月作ですか?
いいえ、違います。半分程度は葉月作ですが、俳句仲間の句も利用させてもらっています。
車内での句会には所謂「木曜句会」で出された句が多く見られます。
『恋の平行四辺形』は2003年に執筆されたもので、作中何回かノーベル賞という言葉が出てくるのは2002年の田中光一氏のノーベル化学賞受賞の影響です。
執筆当時「木曜句会」メンバに「これを小説で使わせてもらいます」と42句プリントアウトしたものを見せて掲載許可をいただいたきました。改めて関係者にお礼申し上げます。もう昔のことなので憶えておられんかもしれませんが。
「俳句世間十月号」に載った社先生の10句のうち「東京に野原ありけり春時雨」は某若手俳人の作を剽窃させてもらいました。また「滝壺愛」という言葉は別の若手俳人にだいぶ以前に教えてもらったものです。
羽根邸の泊まった翌朝、神屋くんが香奈に見せる「天狗山歌仙」は「四童HP」で2004年に巻かれた「ビートルズ連句」をそのまま流用させていただきました。
http://www.asahi-net.or.jp/~xl4o-endu/renku10.htm
快く承諾してくれた玉簾さん、四童さん、守さん、詠犬さん、うさぎさんに改めて特別な感謝を。
ここまで書いてきて、主要人物のプロフィールがないとわかりにくいという意見を何回か聞かされたこと思い出したので登場人物紹介やります。
≪主要人物紹介≫
■神屋慎一郎
24歳男性
この4月から某旧帝国大学工学系研究科M1
俳号:社社または社慎一郎
俳歴8年
■志々目晴彦
22歳男性
この4月から某旧帝国大学農学生命科学研究科M1
ミステリ研のペンネーム:福原綾奈
俳歴2年
■羽根靖子
19歳女性
この4月からステラマリス女学院大学部2年
俳号:なし
俳歴半年
神屋慎一郎の「はとこ」であると同時に「またいとこ姪」。人の倍は食うのにウエストの細い「謎の生物」。
■元木香奈
19歳女性
この4月からステラマリス女学院大学部2年
通り名:井の頭線の青き雷(なぜ青いかは不明)
俳句初心者
この小説の語り手。常識人だが上記「謎の生物」の親友。
Q.続編はありますか?
あります。続編の予定はあります。いつ書くことになるかわかりませんが、このシリーズは全部で五巻になる予定なので(タイトル)/(サブタイトル)/(季節)で列挙しておきます。
第一巻、恋の平行四辺形/北陸湯けむり殺人紀行/春
第二巻、(題未定)/続北陸湯けむり殺人紀行/春
第三巻、世界牛の春隣/帰ってきた北陸湯けむり殺人紀行/冬
第四巻、(題未定)/その後の仁義なき北陸湯けむり殺人紀行/夏
第五巻、愛は定め、定めは死/エレキの北陸湯けむり殺人紀行/秋
その他、番外編に『OL探偵美和子の事件簿』(黒ストッキングの罠、埼玉に夕日が沈む)の予定もあります。こんなに書くからには一度ぐらい志々目くんに事件を解決させてあげたいとは思います。
Q.作中の句会で私が良いと思った俳句が無点でした。残念です。
あの句会の参加者は概ね初心者のようなものなので、選が甘いくらいの方が自然に思います。
というのは建前で作者に俳句を見る目がないせいです。すいません。生まれてきてすいません。
Q.モデルはいるのですか?
先にも書いたようにこの小説は2003年まだ私が俳句初心者だったころに執筆されたもので、若手俳人の知り合いも少なかったため特にモデルというのはありません。
特に国立理系デフレコンビのモデルはあれとあれじゃないかという質問があったのですがあれとあれではありません(あれとあれって何だよ)。
但し、続編が書かれた場合、第三巻以降は東京が舞台になり学生俳人が多数登場するので、どこかで見たような感じだなあと思うことがないとは限りません。
蛇足ですが(このエントリそのものも蛇足ですが)、小説の終わり近くに志々目くんが「俳句の見立てもない!」と言って憤慨するのは横溝正史『獄門島』を踏まえての発言です。靖子の伯父の僧侶、了沢という名も同じく『獄門島』に依っています。
今後質問が来た場合、また書かせていただくかもしれません。
では皆様、ごきげんよう。
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2010年10月15日金曜日
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