相子智恵銀漢に体濡らして戻りけり 小島 健
句集『小島健句集』(2011.9/ふらんす堂)より。
しみじみと美しい句である。
空気が澄んだ秋の夜、作者は満天の星空を見上げている。ことに大きな天の川が印象的だったのだろう。作者の心はまるで、天の川の中をザブザブと泳いできたかのように、戻ってきてからもずっと星の余韻が占めている。
〈銀漢に体濡らして〉は「天の川」という言葉から連想される知性的な把握でありながら、その知的さが「ドヤ顔」をしていない。詩的で主観的だが、それでいて他者が十分に共感できる叙情を内包した一句である。
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