2012年2月6日月曜日

●月曜日の一句〔日高俊平太〕 相子智恵


相子智恵








風邪ひかず和金のやうな妻とをり  日高俊平太

句集『簸川』(2009.9/角川書店)より。

〈和金〉とはフナの形に近いスタンダードな姿かたちの金魚である。

調べたところによると、日本には室町時代中期に伝来し、現在の金魚の品種はすべて和金から派生したらしい。和金はすべての金魚の原点種なのだそうだ。生命力も強い。

そういえばたまに、人の家の玄関の水槽に、お祭りの金魚すくいで得た金魚が巨大化して長生きしているのを見るが、それはたいてい和金であるように思う。

掲句、〈和金のやうな妻〉とは、言われたほうは嬉しくないかもしれないが、しみじみと幸せな諧謔である。ほかの金魚とくらべてそれほど華美でもなく丈夫な、和金のような妻とともに、自分も風邪を引かないで冬を過している。なんでもない日常がうれしい一句だ。



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