2012年2月4日土曜日

【俳誌拝読】『連衆』no.62(2012年1月)を読む


【俳誌拝読】
『連衆』no.62(2012年1月)を読む

西原天気


編集・発行人:谷口慎也。本文56頁。季刊。会員(誌友)の居住地は九州(福岡県)が多い。

巻末の「新規約」に「特別なスローガンは設けない。それぞれが主役である」「希望者者は誰でも参加できる。出入りもまた自由である」とあります。読俳句・川柳といったカテゴリーへのこだわりもない模様で、作品同士が一誌の中でせめぎ合うセッションのようなライヴ感があり、読んでいて刺激的です。

俳論、エッセイ、誌友による句集評、書評など、俳句作品以外の記事も豊富。閉じた感じがありません。

五十嵐秀彦氏の〔週刊俳句時評57〕「中央」と「地方」について考える に端を発し、俳句のローカリティ(地域性・現地性)について考える機会を得ました。「九州ローカル」と良い意味で言っていいこの『連衆』誌に、停滞や因習臭さは感じられません。地方とか中央とか、リアルとかネットとか、俳壇とかインディーズ系とか結社とか同人とか、そういう範疇分け・二項対立への拘泥とは遠いところで俳句が活性化する道は、まだまだたくさんありそうです。


空爆のあとを南京たますだれ  高橋修宏(招待作家)

束にして贈る空飛ぶねこじゃらし  内田真理子(招待作家)

心臓のまわりにすみれ集まり来  谷口慎也

日と月とまことおんどり飛びたがる  松井康子

掬ふたび妻が金魚になつてゆく  夏木 久

以上特別作品より。以下、誌友作品より何句か。

癪に効くおそろしくながい草の名  植原安治

自殺行一本の毛が歩いてくる  吉田健治

黄昏はふくろ縫いして西班牙へ  鍬塚聡子

走り出すペン幽霊はたしかにいる  普川 洋

電飾の昼のあはれや医師の家  大野 満

やまねこのほつと銀河を吐きだしぬ  森さかえ

大賞の菊とりあえず「へー」と言う  前原石舟

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