2012年2月11日土曜日

●鏡



人も見ぬ春や鏡の裏の梅  松尾芭蕉

水仙や古鏡のごとく花をかかぐ  松本たかし

朝寝して鏡中落花ひかり過ぐ  水原秋桜子

金魚飢う部屋のどこにも鏡なし  矢口 晃〔*〕

黒揚羽ゆき過ぎしかば鏡騷  八田木枯

炎天や鏡の如く土に影  中村草田男

熱気球来る鏡の中の手鏡に  須藤 徹

愛しきを抱けば鏡裏に蛍かな  攝津幸彦

手鏡を回せば雪の吹きこぼる  中原道夫

さびしくて鏡の中の鬼と逢う  大西泰世


〔*〕『俳コレ』(2011年12月・邑書林)より

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