
八上桐子
秋 子の胸に澄む貝のボタンも 宮川絢市
澄みわたる秋の空気のなかで、子の胸の小さな貝ボタンを見つめている。その奥にある子の心までは、もう触れることができない。その距離を静かに受け止めているように感じられるのが、秋のあとの空白。子との間をひんやりした秋風が流れ、やわらかな秋の光も差し込んでいる。
この句、縦書きで読んでいただけないのがとても残念。立ち姿が寂し気でいいのだ。
アンソロジーの扉には、おそらく子の年齢に近いだろう作者の句が置かれていた。
生きてゆくことに疲れた水の味はじめて創った句(17歳)
アンソロジー『句集 杜』(川柳杜人社 1979年)
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