2021年9月12日日曜日

【新刊】『人工知能が俳句を詠む: AI一茶くんの挑戦』

【新刊】
『人工知能が俳句を詠む: AI一茶くんの挑戦』

川村秀憲、山下倫央、横山想一郎著/2021年7月/オーム社

2021年9月11日土曜日

【新刊】谷口智行『窮鳥のこゑ 熊野、魂の系譜 3』

【新刊】
谷口智行『窮鳥のこゑ 熊野、魂の系譜 3』

2021年8月1日/書肆アルス


2021年9月10日金曜日

●金曜日の川柳〔松永千秋〕樋口由紀子



樋口由紀子






昨日死んだと言い張っている女の子

松永千秋 (まつなが・ちあき) 1949~

ホラーでもオカルトでもなく、そんな面倒くさい「女の子」を実際に見たのだろう。昨日死んだのなら今日はもうこの世に居ないのに、「ほんとに昨日死んだんだから」といつまでも言い張る。理屈もへったくれもなく、決して譲らない。「言い張っている」の必死さが目に浮かんできそうである。

私にも「女の子」のときがあり、辻褄の合わないことを言い張ったときがあった。作者もすでに「女の子」ではない。もうそこには戻れない。きっとなつかしく、眩しかったのだろう。「女の子」という小さな存在が大人の心に波状していく。「男の子」だったらどうなのかとふと思った。

2021年9月6日月曜日

●月曜日の一句〔若井新一〕相子智恵



相子智恵







鮭打ちの往生棒を振り上ぐる  若井新一

句集『風雪』(2021.5 角川文化振興財団)所載

産卵のために川をさかのぼってきた鮭を浅瀬で待ち、棒で叩いて仕留める鮭打ち漁。今まさに棒を振り上げて、鮭を打ち殺そうとする瞬間が描かれている。

鮭を打つ棒は〈往生棒〉というのだ。実に直截的な命名だな、と思う。せめて往生してほしいという思いには、哀れと残酷と滑稽味が入り混じる。素朴な漁と道具の名前は、飽食の時代の私たちに、命を食べねば生きられないという大原則を改めて突きつける。

大口を四角にひらき鮭のぼる

本書には魅力的な鮭の句が他にもある。鮭の口はまさに四角形という感じがして、〈大口〉に必死な様子が伝わる。この必死な鮭を往生棒で叩き殺して、いただくのである。

2021年9月3日金曜日

●金曜日の川柳〔小島祝平〕樋口由紀子



樋口由紀子






全国の皆様ひとり歯を磨き

小島祝平 (こじま・しゅくへい)

「全国の皆様」とまるで呼びかけのようなかたちで一句が始まる。何かと思えば「歯を磨き」である。拍子抜けしてしまう。これが狙いなのだろう。舞台は自宅の洗面所。歯磨きはもともと一人でするものであるから、「ひとり」とわざわざ書いているのは独居なのかもしれない。なにをしても、なにを食べても、あるいは倒れていてもひとり、誰も居ない。だからあえて、今朝も元気にいつも通りに歯を磨いていますよと、呼びかけてアプローチしているのだろう。

「皆様」と「ひとり」の対比が際立ち、「全国の皆様」と「ひとり」の私の関係性や隔たりを感じ取ることができる。道化的な趣きが色濃くあり、侘しさと可笑しさで、歯磨き粉の匂いが鼻につんときて、しんみりする。