2012年8月31日金曜日

●金曜日の川柳〔堀口塊人〕 樋口由紀子



樋口由紀子







ふるさとのあのポストから来た手紙

堀口塊人 (ほりぐち・かいじん) 1903~1980

一昔前は「あのポスト」と特定することができたなと思った。今はどこに投函したかほとんどわからない。別にどのポストであろうと届くことには変わりはないのだが…。

この手紙は作者にとって特別なものだったのだろう。大事な用件が書いてあったわけではない。忙しさにかまけて連絡をとっていなかった母からの「元気ですか」とただそれだけの手紙のような気がする。用件のない手紙はすべての用件を含んでいる。郷愁を強く感じる。そういえば、近頃は手紙を出すことも受け取ることもめっきり少なくなった。気づかぬうちに変わっていったものが身近にもたくさんある。「あのポスト」と思えた時代が懐かしい。

堀口塊人は日本川柳協会の設立に尽力し、明治・大正・昭和の川柳界の生き字引といわれた。

2012年8月30日木曜日

●広渡敬雄さん「角川俳句賞」授賞記念リンク集


広渡敬雄さん「角川俳句賞」授賞記念リンク集

竜の玉 10句 第92号 2009-1-25
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2009/01/blog-post_9878.html

山に雪 10句 第191号 2010-12-19
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2010/12/blog-post_5303.html

山廬を訪ねて 第51号 2008-4-13
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2008/04/blog-post_1114.html

シリーズ 俳枕
http://weekly-haiku.blogspot.jp/search/label/%E4%BF%B3%E6%9E%95

 

haiku&meでの連載  2012-9-9 追加
http://haiku-and-me.blogspot.jp/search/label/%E5%BA%83%E6%B8%A1%E6%95%AC%E9%9B%84


2012年8月29日水曜日

●スープ

スープ

白昼のごとく燕のスープなり  岡村知昭〔*〕

スープの匙雁ゆく海を曳航せり  八木三日女

寒星や缶のスープの具が四角  松本てふこ〔*〕

摩天楼驟雨に蛇のスープ飲む  仙田洋子

人類もスープもさざなみして昏るる  金子 晉


〔*〕『俳コレ』(2011年12月・邑書林)より


2012年8月28日火曜日

〔俳誌拝読〕ほたる通信Ⅱ(2012年8月)

〔俳誌拝読〕
ほたる通信Ⅱ(2012年8月)

西原天気

ふけとしこ氏による個人誌。かつての「ホタル通信」の「超縮小版」として(官製)ハガキ形式で始まった「ほたる通信Ⅱ」。自作8句、時候の挨拶より成る。

  花蜘蛛の揃へる脚の透きとほる  ふけとしこ




2012年8月27日月曜日

●月曜日の一句〔片山由美子〕 相子智恵



相子智恵







たたむとき翼めくなり秋日傘  片山由美子

句集『香雨』(2012.7 ふらんす堂)より。

日傘を畳むときに、鳥が翼を休めたように感じたのだろう。白い日傘なら白鷺のように、黒日傘なら鵜のように大きな鳥が、翼をすーっと閉じてゆく瞬間のイメージが、私の脳裏には浮かんできた。

逆に日傘を開くときにもまた、バサリと飛び立つ鳥の翼を感じることができただろう。しかし、作者は日傘を〈たたむとき〉を選んだ。

この日傘は、暑さ本番の夏の日傘ではなく、残暑まで差している〈秋日傘〉である。あと半月ほど経って、もう少し涼しくなれば、この日傘も今年の役目を終えるだろう。その〈秋日傘〉の季語の気分は、翼を畳んで休もうとする瞬間の鳥たちの安堵にも似ている。やはり、〈たたむとき〉なのだ。