おんつぼ29
Led Zeppelin: The Wanton Song
中嶋憲武
おんつ ぼ=音楽のツボ
朝、目が覚めたら急に頭のなかでLED ZEPPELINのTHE WANTON SONGががんがん鳴り響いて、聴きたくて聴きたくてたまらなくなり、急いでコンパクトディスクをセットする。
これは名盤の誉れ高い(と、自分では思っている)「PHYSICAL GRAFFITI」のD面に入っている(コンパクトディスクではDISC TWO)。
ジャケットはイギリスの古いアパートメントで窓のところにタイトルが1文字ずつ入っていて、アナログ盤ではここがスライドして窓の中が覗けたのだが、コンパクトディスクではただの一枚の印刷で味気ない。
朝食を取りながら聴いていると、食事を終えた猫が膝の上に乗ってきた。
この猫は毎度そうしている。朝に晩に食事を終えるたびにぼくの膝の上にOn my knees. で、朝から猫が膝の上で眠るので何も出来ぬことが多い。立てないし。内田先生とこのノラやクルツもそうだったのだろうか。
しかし用事でどうしても出かけなければならぬところがあり、泣く泣く猫を下ろして、外出の仕度をしていると猫は押入に入って寝ている模様。
押入を覗くと寝ていたので、声をかける。声をかけると低く小さな声で「ニャア」(川上弘美風に書くと「ニイ」)と鳴く。この猫はいついかなる場合でも呼びかければ必ず返事を返す。泣く泣く猫に別れを告げ出かける。
あっという間に用事は終り、地球は夜になって家へ帰ってくると、お腹が空いているので、僕の顔を見るなり「ニャアニャア」と鳴く。で、食事の用意をして器を下ろすと、早速食べ始める。
膝の上に来ることは分かり切っているので、椅子に座っていると食べ終えた猫は、小さな声で鳴きながら膝の上に乗ってきた。気持ち良さそうな顔して眠ってしまった。こうなると本を読むくらいしか出来ない。リモートコントロール機でコンパクトディスクを操作し、PHYSICAL GRAFFITIに聴き入り、やっぱりTHE WANTON SONG最高と思うと日記に書いてみたくなり、猫を抱いて、パーソナルコンピュータのところまで来て、いまこうして書いている訳だ。訳です。猫は両手で僕の右手に齧りついていて離さない。目はしっかりとつぶり寝ている。
ああ、立たない。いや立てない。
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