二一二句会〔2012年春〕投句一覧
どこの俺
トドの妻
音を着る
蕎麦を断つ
母の嘘
降るは花
声が雲丹
雪の地図
桃が憑く
肉の人
浮標に雪
糞藻梅
母へ匙
螺子も春
椀の底
蘂も飛べ
Gagaに疑義
茄子が好き
海に母
蟹の腋
角に椅子
桐に駅
鶏に用
姉の腋
蛇へ父
春ぞ浮子
春の兄
葱で待つ
鳩がない
腹の牛
母は気化
露のぽぽ
Fadoの穢土
いぬのゐる
トムて誰
駅はワニ
芥子のへそ
亀の七
襟に神
妻が空
指の禁
時を死ぬ
振るや葱
駄々が漏れ
韮でぶつ
風へ鶴
北の湖
蜷の連れ
●6句選(特選◎1句、並選5句)でお願いします。
●選句・選評はこの記事のコメント欄に書き込んでください。
≫コメントの書き込み方
●コメントの名義欄に俳号を記入ください。その俳号を「選句一覧(結果発表)」の際の作者名として掲載いたします。
●選句に簡単な選評を添えてください。
【表記例】
○山と川
~~~~~~~~~~~~
◎兄と姉
~~~~~~~~~~~~
※整理の都合上、句の順番は清記の順のままお願いします(特選を上に持ってくる等しないでください)。
●選句期限 2012年3月22日(木)24:00
※不明点・確認は天気まで(tenki.saibara@gmail.com
それでは選句をお楽しみください。
●
16 件のコメント:
○母へ匙
自由律俳句、介護俳句としてアリだと強く思います。
○螺子も春
反射光が見える。ひっくり返して「春も螺子」にしても捨て難い魅力があるなと思いつつ。
◎蟹の腋
シュールなようでいて、ハサミをかざしているからこそ腋がよく見えるのであり、優れて写生的でもある。
○襟に神
神は何処に宿るか。例えばシャツの襟に、詰襟に、ある時は着物の襟に。
○振るや葱
振ってから葱であることに気付いたような、飄々とした味わい。
○蜷の連れ
仲良きことは美しきかな。短いですが蜷の佳句に通じるテイストがあります。
◯どこの俺
あはは、ドッペルゲンガーでも居ましたか。酔っ払って覚えていない夜のことを言われた時の言い訳みたいでおもしろい。
◯雪の地図
美しい。降り積もるほどにどんどん塗り替えられていく地図、やがて真っ白に。あるいは、地球儀レベルで陸地を雪で表すというのもありかも。季節ごとに違う地図ができて移り変わりもまた美しいと思う。
◯鶏に用
どんな?という面白さもさることながら、訪ねてきて主じゃなく庭もしくは鳥小屋へ一直線、という感じが楽しい。決して〆ていただく方面ではない、はず^^;
◯振るや葱
すごい!切れ字はうかと思いつかなかった。俳句として申し分ない姿。普通なら、ネギ畑のおばちゃんが手に持ったネギを振っているシーンなど思い浮かべるが、二一二で「振るや葱」と言い切ると何か違うような、もっと純粋に「葱!」という気がしてくる。
◎風へ鶴
すばらしく美しい!「風へ」となれば引鶴のイメージで立派に春の句になる。今まさに飛び立ったところ。ほんとにきれい。
◯北の湖
わはは、やられた!こんな堂々とした反則技があったとは!千代の富士も舞の海もOKじゃん、と思ったが、そっちはどう見ても関取の名前でしかない。「北の湖」はちゃんと俳句になっているところが悔しくも楽しい。
◎どこの俺
パラレルワールドに何人も「俺」が居そうです。吾とか我でなく俺としたことで会話のフレーズとも読めるところもおもしろい。
○声が雲丹
無理筋だと一回通過しましたが、どんな声なんだろうと考え込んでしまいました。あんまりいい声では無さそうですが聴いてみたい。
○螺子も春
「も」はちょっとどうかなあと思うけど螺子と春は気持ちのいいつきかたをしている。
○鶏に用
何の用があるのでしょうか。実用的な意味としても鶏にとっては不穏な発言。鶏人間みたいなものも浮かんできます。
○葱で待つ
葱を振ったり、韮でぶったりにも食指が伸びますが、今回は待つに一票。葱の生えている場所で待つのか、葱だけ用意して鴨でも待っているのか、何かの陥穽の暗号なのか・・・広がるなあ。
○トムて誰
このインチキ中国人っぽい話し言葉フレーズとそれが指す国籍不明なトムとの間にドラマがあります。密書をもって逃亡中の男を庇う仲間かなあ。
○トドの妻
トドって動物のトド?それともボラの出世名?とどのつまりの妻?
○Gagaに疑義
レディ・ガガにスキャンダルか。ガガ、ギギという音の楽しさ。
○蟹の腋
蟹の脇はいくつあるのだろうか。ま、千手観音にはかないますまい。
○トムて誰
トム・ハンクス?トム・クルーズ?小柳トム?
○振るや葱
たしか、オヨネーズは麦を振りながら歌ってた。これは、その続編か。愛の花咲く葱畑。
○韮でぶつ
魔除けの儀式か。身が清められそう。
◎北の湖
なるほど、四股名の多くは二一二だ。
○ 蕎麦を断つ
蕎麦であるからには余程のことに違いない。うむ。
○ 声が雲丹
雲丹とはっきり漢字で書かれてしまうともう雲丹。あの橙までは行かない新鮮な雲丹色の、潜って拾い上げて岩場の周囲に浮かんだまま割り開いて口をつけるあの生々しい雲丹の声。ああなんて爽やかかつ濃厚な、啜りたき生声の雲丹。
○ 螺子も春
キカイカボセイ、春爛漫、999ハ通過中・・・帰投。 親父が締めたはずの螺子が転がって外れているイメージでした。陽差しの中の陰影。
○ 葱で待つ
鴨は葱で待ってれば一緒に喰われるわけだが、俺がジュエリーショップの前で待ってても喰われるわけじゃあない。
◎ 駅はワニ
メキシコの子どもたちへ贈る寓話の一つ。 駅に停まる時には気をつけろ~♪ そいつはワニかもしれないぜ♪ ソンブレロ~♪ コンブリオ♪ がおーがおー♪
○ 風へ鶴
確かな風。この風、存在に揺るぎが無いですね。ニ一ニの短い形式の効果なのかも。
○音を着る
ヘッドホンで音楽を聴きながら歩いていると、自分の周りに音が貼りついているような気がする。それを一言でいえば「音を着る」なのか。
◎桃が憑く
桃に憑かれたら厭だろうと思う。からだじゅう桃汁でべたべたになりそうだ。
○母へ匙
介護の風景として切ない。
○妻が空
いつも妻に空から見張られているような緊張感。
○指の禁
何を禁じられているのだろう。この組み合わせは巧いと思う。
○振るや葱
買い物帰りにゴルフの練習?「や」の一字が面白さを引き出している。
○雪の地図
日々変化していく、ありそうでない地図。見てみたい。
○桃が憑く
赤子のようにピンクで産毛があってつるりと瑞々しくて甘い匂いがして、桃を求めて徘徊…
○蟹の腋
あそこのことか?そこもそうなのか?そもそもあれは腕なのか?解りそうで解らない。
◎葱で待つ
じゃあ明日葱のところでねー、的な日常感を漂わせつつ、「涅槃で待つ」というのを思い出したりもして。シュール。絶妙な取り合わせ。
○腹の牛
空腹時には「んもぉ~」と鳴き、怒った時は腹中を暴走しまくる拳大の牛。可笑しすぎる。
○トムて誰
知らんがな。トムて誰?こっちが聞きたい。
○桃が憑く
果物。桃の節供のウキウキともう一方の妖気を思わされました。
○浮標に雪
気象。そうか、海の上では浮標にだけ雪がつもるのか。静か。
○茄子が好き
野菜。好き嫌いにはかなわないと改めて。
○鶏に用
鳥。一切の情を排して用件のみ。
◎鳩がない
鳥。鳩が“いない”世界は想像可能だけど、“ない”世界は人知を超えてます。
○亀の七
動物。目出度い?不吉?と思わせる呪術性(?)が気になりました。
○ トドの妻
その人はほっそりしていてとても大人しい人に思え ます。
トドはあまり威張ってたらだめだ。
○ 母の嘘
幼い時に母の嘘に気付いてしまうと、母のことが怖 くなる。世の中のもろもろが怖くなる。
◎ 桃が憑く
この時期たまに見かけるような気がします。
桜が憑いてる人はあまり見かけない。
○ 螺子も春
だからっていっせいにゆるまれたら困る。
○ 蟹の脇
蟹にそんな甘ったるい部位があったとは。
怒らせて鋏ふりあげた隙に、すかさず指を差し入れ てみたい。
○ 蜷の連れ
日本むかし話的なところにひとっ飛びでした。
どこの俺
◯むむ哲学的なオレです。
声が雲丹
◯ヘタウマ感アリアリ。
蟹の腋
◯ここは気づかなかった。案外ウィークポイントか?
葱で待つ
◎葱が涅槃に見えてきた・・。
露のぽぽ
◯ぽの右肩に露が乗っている。
韮でぶつ
◯これ、そうとう臭いですね、ぶつ方もぶたれる方も。案外平和裡に事が済みそう。
◎雪の地図
これ以上何か言うと綺麗過ぎになりそう。これだけというのがいいな。
○桃が憑く
動物に憑かれるより、ダメージが少なそう。
○肉の人
良い人とか悪い人とか潔い人とかだらしない人とかじゃなく、肉の人なのだな、と思った。
○茄子が好き
私も茄子、好きです。
○腹の牛
食って腹の中にある牛と、牛の腹を、同時に想像する。
○駅はワニ
なんて素敵な駅。否、素敵なワニ?
○トドの妻
いいなあ、トドのようなゆったり感の妻。夫婦円満でしょう。
○母へ匙
介護の現実に、匙はつめたい感じにも。
○腹の牛
牛のお腹に子ができているので、心配しているのだろう、セシウムのこと。
◎襟に神
祈りの姿勢の襟のあたりに神の光りがさしている。祈ることしかできない。
○駄々が漏れ
情報のダダモレはやはり放射能漏れを想像してしまい。
○風へ鶴
鶴の姿にほっとする
○声が雲丹
もわっとしてるのでしょうか。「わかる!」と言いたくなる句。
○桃が憑く
桃の憑依は蠱惑的で、不思議な怖さ。
○螺子も春
雄螺子と雌螺子。「螺子つるむ」「螺子の恋」は、やがて春の季語になりそう。
◎葱で待つ
そこが別の世(涅槃?)であるかのような。永田永田耕衣「夢の世に葱を作りて寂しさよ」も響いてきます。
○振るや葱
葱ついでにいただきます。「や」がよろしいです。技巧的二一二。
○風へ鶴
季語で言えば「鶴帰る」の世界。
◎音を着る
音が自分の体を包んでいる。
○ 春の兄
ちょっと中性的な兄。
○ 葱で待つ
長く待つことの慣用表現としてフランス語にあるが、言い得て妙。じっと立って待つ姿は葱。
○ 母は気化
昔厳しかった母の老年。
○襟に神
小さな神様が下りて来てるんですね。
○ 時を死ぬ
死ぬに目的語をつけるとしたら、やはり時だろう。
◎トドの妻
特選です。
○母へ匙
自身を省みてかなり痛い内容なのですが採りました。
○声が雲丹
このあいだ『名探偵コナン』のDVDを借りて見たら林原めぐみ(『エヴァンゲリオン』でペンペンや初号機を演じた人)がすっかり年寄りの声になっていて驚愕しました。アニメ好きの割に特に贔屓の声優とかいないのだけどけっこうショックだった。もう沢城/峰不二子の時代だからなあ。関係ない話ですみません。
○桃が憑く
さりげなく説得力があります。
○北の湖
数ある四股名からこれを選び出した見識に一票。
○姉の腋
私が採らない誰が採る、という勢いでいただきました。
○ 蟹の腋
蟹に腋があるということもさることながら、腋が蟹であるということへもモウソウが誘われます。
○ 蛇へ父
<男>には内包されていても<父>には見つけにくくなるのが、蛇性、といったん思いますと、父のゆらぎが見えるような気になります。
○ 鳩がない
手品師の内ポケットに。からくり時計のその窓に。自然生態系から切り離されたところの鳩の姿が、不在として見えたような気がしました。
◎ 腹の牛
<腹の牛がおさまらない>ので高原で青草を食い散らすなど、これはよろしい落ち着き方です。
○ 襟に神
「梅に鶯」の<に>ではなく、「おせんにキャラメル」の<に>で読んでいました。文字の構造の類似と相違のにじみ具合がそうさせたようです。
○ 蜷の連れ
相棒が蜷であるとして、そういう発言者が蜷であるかどうかは<連れ>という語の内包する意味の広がりが霞ませてしまいます。それが二一二的に面白い。
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