2012年3月16日金曜日
●金曜日の川柳〔山川阿茶〕 樋口由紀子
樋口由紀子
男皆阿呆に見えて売れ残り
山川阿茶 (やまかわ・あちゃ)
私のまわりにもたくさん該当者がいる。しかし、「男皆阿呆に見えて」では決してない。相手がどうのではなく、結婚しようという意識が希薄で、結婚をする必要がないだけのようである。
阿茶は大正八年に今の東京女子医大を卒業し、更に京大医学部の選科に女子として初めての勉学を続けた才媛で、生涯独身であったらしい。だから、こんな川柳を詠んだのだろう。
当時は現在のように世間も親も独身の女性に寛容ではなかっただろう。結婚しなかったというこだわりがこのような川柳を詠ませたような気がする。現在の女性は生き方を選択ができる。阿茶が今に生きていたなら、私のまわりにいる女性のようにもっと伸び伸びと過ごし、自分のことを品物のように「売れ残り」なんて言わなかっただろう。
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