2012年3月11日日曜日

〔今週号の表紙〕第255号 壁 笠井亞子

今週号の表紙〕
第255号 壁

笠井亞子


最近ますます「経年変化が現れているもの」を好ましく思う。

歳のせいといわれればそれまでだが、どうして、若いころから好きだったのである。サビの色合いや枯葉の刻々変色して行く様子、雨ざらしになった木の風合いなど。コンクリートの建物だって、ひび割れ変色してしまったたたずまいの方に惹かれる。

写真の建物は、清澄あたりを散歩中に遭遇した、ちょっとアールデコ的装飾の付いたビル。いかにも人の手が「つなぎました」という感じの電線と、ひび割れを埋めたような線、窓枠や装飾レリーフなどのいろいろが、古びたコンクリの肌理にのって、なんだか絶妙なバランスではありますまいか? メーターを乗せた木の板がまたいい味なんだなあ。


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