〔今週号の表紙〕
第314号 阿佐ヶ谷住宅 給水塔
伊東未歩
東京の杉並区にある旧阿佐ヶ谷住宅の給水塔です。先日の夕刻、食事の支度をしている途中に急に思いたち自転車を走らせ近所の阿佐ヶ谷住宅へ向かうと、給水塔が強い夕陽に照らされていました。
阿佐ヶ谷住宅は、1958年に日本住宅公団により分譲された集合住宅です。前川國男建築事務所が設計したテラスハウスや、緩やかにカーブを描く道路、なにより沢山の植物が広い敷地内に生い茂り、23区内とは思えないような自然環境に恵まれ、多くの人々に愛されてきました。
その阿佐ヶ谷住宅も老朽化のため再開発をすることになり、もうすぐ取り壊される予定です。給水塔も同じく。50年以上そこに立ち、私たちの生活を見守り続けてくれました。
もうすぐなくなってしまう事実を受け入れなければ…と満開の桜を見に行くと、元住民の方々の最後のお花見の会に偶然居合わせました。みなさんは精一杯の笑顔で見送っていらっしゃいました。それを見て少し心の整理がつきました。
きっとここにはどこの街にでもある立派なマンションが建つのでしょう。せめて今ある緑をなるべく多く残して欲しい。
ここに緑と空に包まれた夢のような空間があったことを忘れません。
■いとう・みほ
東京生まれ。阿佐ヶ谷在住。美術書・歳時記などの本作りに携わる。
●
週俳ではトップ写真を募集しています。詳細は≫こちら
4 件のコメント:
今日たまたま散歩がてら阿佐ヶ谷住宅に行ってきたところでした。本当に寂しいですよね。せめてあの木々はなんとか生かして欲しいなと思いました。
>恵さん
そうですか、阿佐ヶ谷住宅にいらっしゃったんですね。
建物は老朽化が否めず仕方ないと思うんですが
あのなんともいえない鬱蒼とした自然がなくなってしまうのかと思うとやりきれません。
でも数年ですが近くに住んで度々足を運べただけでも幸せだったのかなとも思います。
(そう思うようにしています;^_^ )
ステキな写真ですね。
当時はかなりモダンかつ先端の住宅棟だったのでしょう・・・
取り壊されるのは残念ですが、地震も多い昨今・・仕方がないのでしょう。
わが地元にも某官庁の宿舎があってその通り沿いに桜並木(100メートルほどですが)ありましたがやはり建て替えでその並木の片側が伐採されマンションが建ちました。
いちおうの配慮から桜の幼木を改めて植えてはくれて最近は随分と花を咲かせるほどまで大きくなってきていました。
ところが!今年は花が咲いたとおもったら花もろとも刈り込まれるという無残な事に・・・
想像ですがマンション住人から苦情がでたのかも?丁度庭先や駐車場にかかる感じでしたから。
まったく悲しく残念な気持ちです。
何故もっとおおらかな気持ちをもてないのでしょうか。
長くなりましたが新しくなった阿佐ヶ谷住宅は緑豊かなまま再建されますように!
>めぐさん
ありがとうございます。
今でもレトロモダンっていうんでしょうか私には心落ち着く建物で、住んでみたかったです。
猫にとっても楽園ですよね(^^)
いろんな考えの人がいるんでしょうけど、桜の花が咲いている時に刈り込みだなんて、本当に悲しいですね。
阿佐ヶ谷住宅も芽吹く樹木が次々に切り倒されています。
まだ寒い時期に阿佐ヶ谷住宅の植物を移植して少しでも残そうというボランティアもあったようです。
都会の中で四季を全身で感じられる貴重な空間でした。
きっとそのほとんどは切り倒され抜かれてしまうと思います。悔しいけどそうなります。
正直まだ未練たらたらですね。
コメントを投稿