
八上桐子
櫛の歯は等間隔で逃げられぬ 天谷由紀子
手に取った櫛の歯の等間隔を意識したとき、まるで檻のようなその内側に閉じ込められている自分を発見したのだろう。
この句は、誰(なに)が、どこから逃げられないのか書かれていない。窮屈な社会や組織、家庭のことかもしれないし、櫛の歯自身としても読める。
作者本人のことと読んだのは、句集のなかに、どこか危うい状況を冷静に書きとめた作品が多いせいだ。
おはじきと鍋の間にある扉
満月になるまで鉛筆を削る
ひなげしが折れないように受話器おく
目に映るこの世界の歪みと、そこにいる私を淡々と見つめている。
石には石の力があって、ぎゅっと握りしめると安心するように、折々にひらいてしまう句集なのだ。
『白いみしん』 (2001年/私家版)
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