新型携帯懐炉
野口 裕
駅前で物を配っている人から、マンションのチラシを受け取ると、チラシの間に入っている物がティッシュにしては重い。今朝、開いてみるとティッシュではなく携帯カイロが入っていた。新型の携帯カイロで、繰り返し使用可能とのこと。
先ほど調べてみると、
wikipedia(最近の各種懐炉の項)
「エコカイロ」という商品名らしい。中に入っているものは酢酸ナトリウムで、一般の携帯カイロのように鉄の酸化反応を利用するのではなく、酢酸ナトリウムの過冷却状態を利用するようだ。中に入っている金属製のボタンをねじ曲げると、液状の酢酸ナトリウムが一気に結晶化し始める。
過冷却状態はすぐに理解できたのだが、金属製のボタンをなぜねじ曲げるのか、ちょっと首をひねった。どうもボタンに仕掛けがあるわけではなく、ねじ曲げるときに発生する熱を利用するようだ。
そういえば、長さ15センチほどの針金を中央で折り曲げ、山にしたり谷にしたりの折り曲げを二三回繰り返すと、折り曲げた部分がかなり熱くなる。下手に触れるとやけどする場合もある。結局、その応用なのだと得心した。酢酸ナトリウムを利用することを思いついただけでは、まだ商品にはならない。中に金属ボタンを入れ、初めて商品として完成する。なかなか象徴的ではある。
ところで商品としての欠点は、発熱時間の短いこと。一時間ほどしか効果がない。朝、発熱させたカイロはもう冷えている。
はや冷えて酢酸ナトリウムは机上 裕
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2012年1月21日土曜日
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