2012年1月27日金曜日

●金曜日の川柳〔松永千秋〕 樋口由紀子


樋口由紀子








戦死者の中のわたしのおばあさん


松永千秋 (まつなが・ちあき) 1949~

戦場にかり出されて死んでいった男の人はたくさんいる。戦死者というとすぐにその人たちを思い浮かべる。しかし、その陰で「銃後の守り」という大義名分の下で、社会的拘束を受けて、死んでいった多くの女の人がいる。その人たちすべてが戦争の犠牲者であり、戦死者である。「おばあさん」というのがなんともやるせない。自分のために生きることなく、一生を終えた、そんなおばあさんがいたからこその今のわたしたちであろう。

「おばあさん」だけではなく、戦災というの名のもとに死んでいった多くの人がいたことを私たちは忘れてはならないと思う。〈戦争というタイトルの写真展〉〈戦争が通って行った父の眉間〉。セレクション柳人『松永千秋集』(2006年 邑書林刊)所収。



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