【新刊紹介】
角谷昌子〔著〕八田木枯〔監修〕『山口誓子の一〇〇句を読む 俳句と生涯』
2012年7月3日/飯塚書店
八田木枯が100句を選び、角谷昌子が解説。八田木枯は十代で長谷川素逝に師事、戦後すぐの時期、三重県四日市の天ヶ須賀海岸で保養中だった山口誓子を訪ね、1948年創刊の『天狼』に投句。本書は、半世紀以上経って弟子が師のアンソロジーを編むという体裁。
ご承知のとおり、八田木枯は今年3月19日に逝去。「あとがき」によれば、本書・校正作業が進むなかの逝去で、本書が(句作以外での)遺作ということになる。
100句にどんな句が入り、どんな句が漏れたかは、読者の大きな興味だろうから、ここには、有名句では《麗しき春の七曜またはじまる》が漏れている、と、その点だけ記して、あとは手に取ってお楽しみいただくことにする。
角谷昌子の解説は、鑑賞と評伝のバランスがよく、撰から漏れた句も同日の句作として紹介するなど、読者への配慮が行き届いている。
大俳人の全業績を俯瞰あるいは賞味するのに、100句は、ちょうど良い数かもしれない。
(西原天気・記)
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