2017年7月28日金曜日

●金曜日の川柳〔三上玉夫〕樋口由紀子



樋口由紀子






いつだって客を待たせるカエル売り

三上玉夫

「カエル売り」って、そのような商いが実際にあるのだろうか。検索したがわからなかった。あるかないかわからない商売なのに、「カエル売り」は客待たすだろうと確信した。

「カエル売り」はきっとカエル問屋から仕入れるのではなく、客の要望があってから、店主自らがカエルを捕まえてくるのだろう。店で飼っていたら弱ってしまう。元気なカエルをその都度、裏の田畑や川に行って捕まる。カエルの種類は多く、すばしこい。客の要望通りのカエルはなかなか見つからない。だから、客の方も最初から待つのは了承済みなのだ。なんとものんびりした商いだ。「カエル売り」を勝手に想像して、楽しんだ。「おかじょうき」(2013年刊)収録。

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