西原天気
※樋口由紀子さんオヤスミにつき代打。
あざとかわゆすアバターにえくぼ 江口久路(えぐち・ひさみち)
後半の下敷きになった成句は「痘痕(あばた)も靨(えくぼ)」と難読漢字。画数のやたら多い「靨」よりも「笑窪」のほうが愛嬌がある。
前半は、現代的な言い方。《かわゆす》は「かわいいを意味する『しょこたん語』のひとつ」とある。「ゆす」のあたりに古語的・雅語的な響きも感じられる。「いとかはゆす」なんてね。
「あざとい」「あざとし」の語幹のみを取り出した「あざと」も最近はよく使われる、とは言っても、形容詞全般で見れば、古くからの用法。「ずる!(ずるい)」とか「えぐ!(えぐい)」とか「しんど(しんどい)」とか。
いまどきの言い方と成句のもじりで成り立つこの句、意味は鮮明。けれども、考えてみると、アバターにえくぼなんてあるのか? とも思う。が、どなたかの分身たるアバターに、それくらいの媚態・かわゆさの部品があってもさしつかえない。
掲句はあざみエージェント「2025年カレンダー」より。
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