不定期・正午更新●『週刊俳句』の裏モノ●another side of HAIKU WEEKLY
鏡面の吸い込む桜吹雪かな何本か杭の芽吹ける三鬼の忌百千鳥クッキーとビスケットの違ひ経験の浅さを亀の鳴けるなり垂直に眠る鯨や義士祭目の上のたんこぶ暖かくありぬ鷹鳩と化したるほどの演技力
看経の亀白絹の演者連胡砂来る目目連の古館望潮義人の墓は自然石経堂は内から崩れ夜の駘蕩千年の海市剥き出しの黄の歯列末黒野に千切りて本を散らしをりさくらさくらお前をすこしいぢめては
終演や田楽に味噌たつぷりと桜蘂降る目語にて相通ず
演舞場の幕間に買ふ蕨餅桜湯に目玉おやじの浮かびけり春の闇義賊ひらりと塀を越え草萌や経木に包むにぎり飯千駄木にジャズを聴きゐる春の夜春灯や本所に昔七不思議帯留の桜鼠に春惜しむ
桜のこと談志独演会のこと春ふかし金魚の飼ひ方の本千本の柱を生やす海市かな鳥交る講義ノートの字がきれい
春風を演じてしまふ硬直性目刺から串抜いてゐる有り難い花の冷義理でいいからe-メール花時を総務経由で来られたし春星や千年越ゆるものはなに本筋をあくまで通す四月かな絵葉書まで買はすおまえは桜餅
馬の足演ずる桜月夜かな虻唸る円空仏の目ぢからに海市待つ義足一本横たえて逃水の果てに経済学部かな千本の桜の山にジヤズを聞く古本を量つて買ふや花の下桜鯛唄うたふよに糶られけり
大屋根に猫のまします彼岸経演出の秘訣を花に譬ふとはまずは目の酔ひ潰れたり春の宵義太夫の如くに阿蘇の笑ふかな
目薬となみだがまじり桜びえにはとりの目が籠の目に春の昼
目に鱗肩に鱗翅が生えて春人生の悔いを演算する屍体欅の末梢神経標本先つちよを千枚通しで突く遊び櫱を三本剪つて昂ぶりぬあはれ葉桜よあはれランゲルハンス島春深し鵠沼義肢製作所
演目義經千本櫻 猫髭寄居蟲や演歌めり張り溜め小節目借時演目義經千本櫻壺燒や自前の蓋も義理がたくアンカレッジ經由勿忘草摘んで春星の千を七星汲まんとす龜鳴けり本所玉の井寺じま町櫻さくらいゝ氣になつて咲いてをり
花筏演繹の恋帰納の恋目頭さん目尻さん来る春日傘義 儀 偽 余白詠ふや山葵谷佐保姫の経水溯る魚影春狂や千代紙散らす水銀柱菜種梅雨本棚機関海ニ在リ桜茶のすつかり冷めてしまひけり
徘徊の主演分立つ朝桜鳥籠の網目を数え夢見月終霜や未明の左腕は義手経口の早花咲月噛みくだくくちづけは千夜一夜の素食なり一本の傘をさす篠懸の花若桜午後二時半は固着する
いい人を演じてゐたり春の山 目測を誤つてをり春の波 義士祭記念切手を舐めて貼る 読経の背中へ迫り花吹雪 花曇求肥千切るときに伸びて 留守番のひとりの吹きし石鹸玉 交番へ吹き込んでゐる花の塵 番台へ桜の一枝と小銭 桜貝拾いに遠くまで行こう
春眠の桜上水駅までを 本当に本当はヘリオトロープ 花の冷え千々に乱れる恋知らず 経営者うつむいてをり風光る 手作りの義足職人蜃気楼 呼子鳥ぴたりと水の目分量 人形の演技の刃物春の夜
多数の投句、ありがとうございました。選評(本誌掲載)を楽しみにお待ちください。
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16 件のコメント:
鏡面の吸い込む桜吹雪かな
何本か杭の芽吹ける三鬼の忌
百千鳥クッキーとビスケットの違ひ
経験の浅さを亀の鳴けるなり
垂直に眠る鯨や義士祭
目の上のたんこぶ暖かくありぬ
鷹鳩と化したるほどの演技力
看経の亀白絹の演者連
胡砂来る目目連の古館
望潮義人の墓は自然石
経堂は内から崩れ夜の駘蕩
千年の海市剥き出しの黄の歯列
末黒野に千切りて本を散らしをり
さくらさくらお前をすこしいぢめては
終演や田楽に味噌たつぷりと
桜蘂降る目語にて相通ず
演舞場の幕間に買ふ蕨餅
桜湯に目玉おやじの浮かびけり
春の闇義賊ひらりと塀を越え
草萌や経木に包むにぎり飯
千駄木にジャズを聴きゐる春の夜
春灯や本所に昔七不思議
帯留の桜鼠に春惜しむ
桜のこと談志独演会のこと
春ふかし金魚の飼ひ方の本
千本の柱を生やす海市かな
鳥交る講義ノートの字がきれい
春風を演じてしまふ硬直性
目刺から串抜いてゐる有り難い
花の冷義理でいいからe-メール
花時を総務経由で来られたし
春星や千年越ゆるものはなに
本筋をあくまで通す四月かな
絵葉書まで買はすおまえは桜餅
馬の足演ずる桜月夜かな
虻唸る円空仏の目ぢからに
海市待つ義足一本横たえて
逃水の果てに経済学部かな
千本の桜の山にジヤズを聞く
古本を量つて買ふや花の下
桜鯛唄うたふよに糶られけり
大屋根に猫のまします彼岸経
演出の秘訣を花に譬ふとは
まずは目の酔ひ潰れたり春の宵
義太夫の如くに阿蘇の笑ふかな
目薬となみだがまじり桜びえ
にはとりの目が籠の目に春の昼
目に鱗肩に鱗翅が生えて春
人生の悔いを演算する屍体
欅の末梢神経標本
先つちよを千枚通しで突く遊び
櫱を三本剪つて昂ぶりぬ
あはれ葉桜よあはれランゲルハンス島
春深し鵠沼義肢製作所
演目義經千本櫻 猫髭
寄居蟲や演歌めり張り溜め小節
目借時演目義經千本櫻
壺燒や自前の蓋も義理がたく
アンカレッジ經由勿忘草摘んで
春星の千を七星汲まんとす
龜鳴けり本所玉の井寺じま町
櫻さくらいゝ氣になつて咲いてをり
花筏演繹の恋帰納の恋
目頭さん目尻さん来る春日傘
義 儀 偽 余白詠ふや山葵谷
佐保姫の経水溯る魚影
春狂や千代紙散らす水銀柱
菜種梅雨本棚機関海ニ在リ
桜茶のすつかり冷めてしまひけり
徘徊の主演分立つ朝桜
鳥籠の網目を数え夢見月
終霜や未明の左腕は義手
経口の早花咲月噛みくだく
くちづけは千夜一夜の素食なり
一本の傘をさす篠懸の花
若桜午後二時半は固着する
いい人を演じてゐたり春の山
目測を誤つてをり春の波
義士祭記念切手を舐めて貼る
読経の背中へ迫り花吹雪
花曇求肥千切るときに伸びて
留守番のひとりの吹きし石鹸玉
交番へ吹き込んでゐる花の塵
番台へ桜の一枝と小銭
桜貝拾いに遠くまで行こう
春眠の桜上水駅までを
本当に本当はヘリオトロープ
花の冷え千々に乱れる恋知らず
経営者うつむいてをり風光る
手作りの義足職人蜃気楼
呼子鳥ぴたりと水の目分量
人形の演技の刃物春の夜
多数の投句、ありがとうございました。
選評(本誌掲載)を楽しみにお待ちください。
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