2011年8月12日金曜日

●金曜日の川柳 樋口由紀子


樋口由紀子
  







春眠をむさぼるはずのカバだった

広瀬ちえみ (ひろせ・ちえみ) 1950~

広瀬は仙台在住。東日本大震災で被災した。「死ぬかと思うほど揺れた」と言う。川柳誌「杜人」の編集人で震災前に一校目のゲラが出来ていた「杜人」を「気持ちを奮い立たせて」3月22日に発行した。「あっけなく日常がひっくり返される非情を思った。あたりまえがあたりまえであった日常に戻れる日が来ることを信じたい」と記した。

何が起きたのかわからないままに死んでいった人やかけがえのないものやふつうにあるはずのものを一瞬のうちに失った人がたくさんいる。生活の基盤は崩れ、夢も希望も、そしてどうってことないこともぜんぶ震災と原発は奪ってしまった。失ったものは大きい。被災地の日常はまだ戻っていない。「バックストローク」(第35号 2011年7月)収録。

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