2011年8月26日金曜日

●金曜日の川柳 樋口由紀子


樋口由紀子
  







變人が三人集つて日が永し

藤村靑明 (ふじむら・せいめい) 1889~1915


変人の三人に靑明自身も含まれているのだろう。ああでもないこうでもないとわけのわからない、解決できないことを言い合っているのだろうか。靑明は26歳の若さで、須磨海岸で海水浴中に心臓麻痺で溺死した。

『靑明句集』は死後20年たって椙元紋太・木村半文銭の二人が編集。藤村靑明という川柳人が存在したことを後世に伝えたかったのだろう。

〈蛇使い淋しい時は蛇を抱き〉〈地にながきこのおほ男あわれなり〉、「蛇使い」も「おほ男」も自我をもてあましている青年の姿が思い浮かぶ。自意識の強さも自己洞察の鋭さも物を書く原動力である。繊細で感受性の豊かな作品を残した。『靑明句集』(1934年刊)所収。

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