2011年11月12日土曜日

【俳誌拝読】『や』第57号を読む

【俳誌拝読】
『や』第57号(2011年10月30日)を読む

西原天気


発行人・戸松九里。本文52頁。同人諸氏それぞれ10句ずつを掲載。ほかに、外部から「『や』56号を読む」の寄稿(この号は今井肖子氏)、同人・関根誠子第二句集『浮力』特集、「や」15周年関連の記事など。

同人諸氏10句より。

花火咲ぐたあだそれだげで泣ぐ泣ぐ泣ぐ  菊池ゆ鷹

方言(東北弁のひとつ?)で10句。

真つ直ぐな煙三尺瓜の馬  久能木紀子

クチナシの花の仰山母細し  石井 和

八月やお腹が減ると見る時計  遠藤きよみ

見ますね、たしかに。

暑さ蒸し蒸し家計簿のぼうぼう  吉野さくら

「ぼうぼう」の感興。

通学の後の通勤朝曇り  中村十朗

我画雅餓蛾偽妓疑義愚解夏吾伍後誤語  関根誠子

雷鳴や原稿用紙の薄きマス  松田磨女

大西日富士を見やうと崖の上  小山 渚

めりめりと割れば西瓜の呵々大笑  のら

蔓あぢさゐ見あげる鼻の穴涼し  三輪初子

炎天のベンチに正座無精ひげ  中沢 春

毒りんごめきて大暑のりんご飴  菊田一平

あんまりなのけ反りやうや今年竹  矢島哺陀

八月の夫婦茶碗の底に月  柏原空見子

実柘榴の天変地異の入歯かな  豊田美根

天変地異!

学校にいうれい話麦の秋  麻里伊

目の前のバッタ大腿四頭筋  石川ひろ子

笑ふ眼に涙滲みて秋の蝶  田中由つこ

一面の空と瓦礫と秋近し  三瓶つなみ

月の無い夜を背負うてカブト虫  田沼塔二

蝿生れて障子を叩く命かな  戸松九里

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