2012年1月2日月曜日
●月曜日の一句〔小原啄葉〕 相子智恵
相子智恵
初夢の手と手離れしとき目覚む 小原啄葉
『俳句』1月号「初日」(2011.12.14/角川学芸出版)より。
切ない句である。
親しい人、あるいは会いたいけれど会えない人かもしれない。そんな人を初夢に見た。どんなにか嬉しかっただろう。そして、その人とつないだ手が離れたと同時に、目が覚める。
手と手が触れ合っている途中に目覚めたのではなく、〈離れしとき〉に目が覚めたことに注目したい。
初夢の終わりの瞬間と、手と手が離れた瞬間。その二つの区切りが同時にくるというのは、覚めるべくを覚悟して覚めた気がするのである。手が離れて「さあ、そろそろいってらっしゃい」と、この世の朝に送り出されて、戻ってきたかのように。
「めでたさ」が初夢の本意だとすれば、それとは異なるかもしれないが、この区切りに、私は切ない中にも一瞬の清々しさを見る。
さあ、目覚めてこれから、新しい年が始まるのだと。
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