2012年1月6日金曜日
●金曜日の川柳 樋口由紀子
樋口由紀子
鉄棒にとびついてみるお正月
門脇かずお(かどわき・かずお)1956~
冬の公園も校庭も寒い。冬の鉄棒はさらに冷たい。その鉄棒にとびつくという。お正月に、年の初めに、気を引き締めなくてはならないことがあるのかもしれない。ひやっとする鉄棒に触れて、しゃっきとして、また、何食わぬ顔で慌てず騒がずに、この一年を過ごすと決めているのだろう。
〈おもしろいことを元旦から言おう〉〈仏壇の前でいい顔をしよう〉。日常身辺の事象を普段使っている言葉でごくふつうに、何の衒いも演出もなく、思ったことを率直にそのまま書いている印象を受ける。しかし、自らを客観視しての人間描写には鋭いものがある。
さあ、私もこの一年、しゃきっとしなければ。
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